DAGEKIトップへ 試合結果一覧へ


[第7試合 5回戦]
村上信次 vs 川島康人
王者のリベンジ
ンタム級チャンピオン川島選手は、この試合にどのような思いで臨むだろう か。
 川島選手は、昨年11月に、当時の王者尾崎選手を激闘の末に判定で下し、念願のタイトルを手に入れた。元証券マンという経歴が枕詞のように語られることの多かった川島選手だったが、「王者」というはるかに価値のある肩書を手にし、その表情は喜びに溢れていた。
 そして、今年2月。「今年1年勝ち続けたい」と抱負を語っていた王者は、後楽園ホールで、同級2位の村上選手を迎えた。
 ノンタイトルで組まれたこの試合、悔しかったのはどちらだったのだろうか。試合は、終始ボクシングで圧倒した村上選手が、大差の判定勝ち。負けた王者は、もちろん屈辱。勝った村上選手は、この試合にタイトルが掛かっていないことを恨んだのではないだろうか。
 挑戦者は、2月の「今度はベルトを腰に…」の言葉を実現しようと挑むだろう。
 そして、王者は、雪辱を期してこの試合に掛けるだろう。



ラウンド1 上選手のジャブ、ミドル、川島選手のローから。ワンツーからのコンビネーションで前に出る村上選手。川島選手も散発的にローやパンチで応酬しながらも、後ろに下がる。

 村上選手が追いかけながら、攻め手を休めず、川島選手の左が空いたところに狙い澄まして右ハイキック一閃。川島選手は、瞬時にダウン。

 カウントが続けられる中、フラフラになりながらなんとか立った川島選手。しかし、足下がおぼつかない。一気に詰め寄りパンチを浴びせる村上選手。焦点が定まらない様子だったが、川島選手も足が止まったまま、大きなパンチで応戦。

 しかし、やはりダメージ大きく、下がり始めると、村上選手が首を押さえ込んでヒザ。ラストは、左ヒザが顔に入ってダウン。そのままレフェリーが試合を止めた。


止めとなった村上の左膝




新王者誕生

新王者の誕生
上選手には勢いがあった。最初から前に出て、川島選手に得意のロー、そして一番怖いヒジを出させることなく、見事なパンチのコンビネーションで攻め立てた。そして、狙い澄ました鋭い右ハイキック。もう、これで実質的に試合は決まっていたといえる。
 結果的に前回の対戦で見せた、多彩なパンチのコンビネーションを出す前にきまってしまったわけだが、王座をつかみ取るだけの力があることを証明するのには、十分な時間だったと思う。
 村上選手の勢いは、もちろん若さというものもあるだろう。しかし、華麗かつ力強いパンチテクニックという確固たる武器が、大きな自信となって体を前に突き動かしているように思えた。
 さらに、この試合ではあまり見ることはできなかったが、足技の方もバランスの良さが窺える。
 この新王者。かなり期待していいだろう。

方、王座を追われた川島選手。この4ヶ月、前回の屈辱を倍返しするために、元々多かった練習量を、さらに増やしたという。しかし、その練習の成果を出す前に自由を奪われてしまった。
 対戦相手との相性というものもあるのかも知れない。しかし、王者でありながら同じ相手に2連敗という結果は消すことができない。王者と挑戦者の立場の入れ替わった3度目があるならば、まさに「三度目の正直」を狙って欲しい。
 

文 片岡


DAGEKIトップへ