会場の観客席を見回すと、エンセン井上選手、朝日昇選手、池田久雄選手…修斗の選手が座っている。隣にはリングスに参戦中の金原選手、大相撲の武蔵丸関もいる。キックの会場にあって、一種異様な集団は、皆、この試合に登場するセイント選手の応援団&セコンドであった。 セイント選手の所属は、修斗大宮(STG大宮)。総合系の大会にも参戦している異色の選手であるが、キックのキャリアも3戦あり(2勝1分)、現在も修行中という。同じくSTG大宮所属の修斗ヘビー級王者エンセン選手が、打撃の修行のために渡辺ジムに出稽古に出かけていた縁もあって、今回試合が組まれた。 一方の藤本選手については、何ら情報がない。今回の試合も、当初のアキラ選手から急遽変更ということで、まさに未知数。 ヘビー級だけに迫力ある撃ち合いは必至。セイント選手が、豪華な応援団に負けないファイトを見せることができるか楽しみだ。
ななんともラフな展開で、セイント選手の力もよくわからなかった。藤本選手の方が準備不足だったのか、力量不足だったのか。試合は一方的にセイント選手が殴りまくるばかりで、およそキックの試合として評価するには大味に過ぎた一戦だった。 両者とも、スピードがあるわけでもなく足を止めての撃ち合いかと思ったが、撃ち合いになる前に試合が決まってしまった。時折、ミドルやローを交えたり首をつかみにいったセイント選手がキックの動きをしていたのは分かるが、対する藤本選手が、構えも動きもキックの選手らしいところをほとんど見せることがなかったので、セイント選手のキックボクサーとしての評価は次の試合以降に持ち越された。 連盟はヘビー級にも力を入れていくようなので、今後の展開に期待したいと思う。 文 片岡