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[第10試合 フェザー級5回戦]
大塚一也 vs 杉木応臣
今、華やかなフェザー級にあって、日本フェザー級王者の大塚選手の存在はややスポットライトから外れてしまった感がある。しばらく試合から遠ざかっていたせいもあるが、他団体の選手の派手な活躍の前に、話題性に欠けていたことは確かだろう。
 しかし、大塚選手の実力は決して侮ることは出来ない。20戦18勝(15KO)という堂々たる実績は、他団体のエース格に引けを取らない。その試合ぶりも、華麗とかカッコいいとかいう形容は当てはまらないかも知れないが、体ごと前に出て、破壊力あるパンチを叩き込む、力強いスタイルだ。前回の試合では、久しぶりの闘いで勘が戻らなかったのか、あわやというところを見せてしまったが、最後は底力の違いを見せつけた。
 果たして、今日はどんな闘い方を見せるか。飄々とした表情から、とてつもない破壊力あるパンチを見舞うスタイルは復活しているか、要注目である。

 一方、杉木選手は、所属する杉並ジムが全日本、K−Uとジムが移籍し、今回から日本キック連盟に加盟することになった。短期間に、所属連盟が変わり、闘いに挑む環境としては慌ただしかっただろうが、今回、いきなり王者との対戦となり、杉木選手への連盟の期待が伺える。
 杉木選手も、トップランカーたちと試合を繰り広げてきた実績がある。新天地での心機一転も掛かっていることでもあり、相手は王者なれば、今回の試合に掛ける意気込みがあるだろう。是非、この闘いに注目してみたい。



ラウンド1 者、パンチを放つと組み合いヒザを回す。杉木選手は時折ヒジを打ち込むが、大塚選手はやや後手に。離れると、大塚選手が大きなジャブ、杉木選手もジャブを返すと再び組み合う。組み手争いは杉木選手が優位に立ち、離れ際にヒジ。さらに、フックから右ロー、フックとペースを作る。ガードをとる場面が多かった大塚選手だが、ストレート系のパンチからボディブローを放つと、杉木選手の動きが落ちる。最後に杉木選手が右ストレートで大塚選手をふらつかせるが、終了。



序盤リードする杉木、
首相撲から膝で攻める
 
ラウンド2 ンチから、すぐに組合いに。ブレイクすると、大塚選手が前に出て左右のパンチを打つ。これも、杉木選手が組んで防ぐが、大塚選手の右ボディフックで杉木選手は動けず。大塚選手が、コーナーに押し込んでボディの連打。苦しそうに、体を折る杉木選手。何とか脱出するが、大塚選手が追いかけて再びボディ狙い。杉木選手もヒザを上げてガードしようとするが、パンチを打ち返す余力はない。大塚選手はコーナーに押しつけて頭を左で押さえ込み、右フック2発。杉木選手が崩れるようにダウン。何とか立ち上がった杉木選手だが、大塚選手はパンチを上下に打ち分けて畳み込む。しかし、この回は仕留めきれず。



大塚がボディー攻めで次第に攻勢
 
ラウンド3 塚選手がローを放つと、力無く杉木選手がロープに詰まる。そこから、大塚選手が左フック、右ボディフック、右ロー、ボディフック、と回転よく叩き込むと、レフェリーがスタンディングダウンを宣告。続行するが、杉木選手は再びロープを背負い、大塚選手がパンチのラッシュをかけると再びダウン奪取。ここも立ち上がった杉木選手だが、大塚選手がフルスイングでパンチを打ち抜き、パンチを連打。杉木選手は2度ほど、ダウン同然のスリップをとられ、最後は大塚選手がフックからローで追い込むと経たり込むように倒れてスリーノックダウン。



コーナーに詰めてボディー攻撃(上)
杉木スタンディングダウン(下)


この回2回目のダウンを奪われ
た後最後の反撃を見せる杉木 
 


合後、大塚選手の顔は、杉木選手の左ヒジ打ちを受けて、右目尻あたりからこめかみにかけて大きく腫れ上がってしまっていた。しかし、さして気にする様子もなく、普段通り、振る舞っていた。
 今日は、正直なところ、1ラウンドは杉木選手がペースを作っていたように思う。それでも大塚選手は、動じることなく我を通し、ボディブローで動きを止めると、あとは、2ラウンドかけて執拗にボディを狙って最後はKOに仕留めた。一見して効いたことが分かるほど、動きの止まってしまった杉木選手。相当腹に効いたようだが、その大塚選手のボディ撃ちは、どことなく無造作にも見え、その後の攻撃もかなり荒っぽいものだった。大塚選手らしいといえばそれまでだが、底知れないパワーを感じさせる闘い方は、相手にしてみれば実にイヤなものだろう。
 年内の連盟の試合はこれでファイナルとなるが、果たして来年以降、大塚選手がフェザー級の華やかな争いに名乗りを上げるか。(非常に失礼ながら)とぼけた表情の本人にその気があるかどうかを読みとることは出来ないが、その資格が十分にあることは確か。是非、名乗りを上げて欲しいものだ。

文 片岡

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