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伊藤隆インタビュー
1998.9.19 後楽園ホール控え室

 「あんなに早く決まるとは」

Q:試合のペースは握ってた感じでしたが。

伊藤:そうですね、はい。それでね、握ってないでTKO勝ちだったら笑われちゃうじゃないですか。肘は狙ってましたけどね、まさかあんな早く決まるとは。距離が凄い、相手も前出てくれて、短かったんでこれは絶対当たるだろうなと。パンチ当たってムキになってましたね。

Q:じゃあもうしてやったりの。

伊藤:5cm位切れてましたね。

Q:又、大物を喰いましたけど。

伊藤:でも、試合は押されてなかったですよね。大丈夫?、押してました?。多分これからだと思ってたと思ったんでしょうけれど。ジョン・ウェイン前回TKO負けしてるんですよ、肘でね。行けるんじゃないかと思ったんですけど。只、蹴り主体で行こうと思ったんですよ、腕潰して。したら正面に構えてるんで、もう後膝でバンバン行っちゃおうかなと思って。こうなってるじゃないですか(ジョン・ウェインの構えをしてみせながら)前蹴りもいっぱい入りますし、膝もモロ入りますし。

Q:苦手と言われるパンチも打ってましたけど。

伊藤:距離が凄い近いんで、これは当たるだろうなと。まあ、あいてはパンチの距離持って行きたかったんでしょうけど。

Q:一寸、最後の肘をですね、一寸、どんな感じで当たりました。

伊藤:確かねえ、ストレート打ってきたんですよ。多分ジャブからストレート来たときにガーンとこう、パカっと。

Q:もうそれは練習通りと言うか。

伊藤:いや、まあ練習通りと言うか、何時も打ってる肘ですけどね。肘はそんな今回、蹴ろうと思ったんですよ、一杯。

Q:見てて切れたなと思いましたよ。

伊藤:俺も切れたなと思いましたけど、振り切ったんで。バっとやったんで、ま、切れてんだろうなと思いましたね。ちょっとね、彼もやりたいでしょうし。皆が言ってる程・・じゃないです、サリの方が全然強いです。

Q:ああ、そうですか。

伊藤:ムラッド・サリの方が全然強いです。

Q:圧力が?。

伊藤:圧力って言うか、パワーにしても、あんな華奢ですけどパワーにしてもスピードにしても。だからパンチにしても、パンチ・・は、まあ互角位なんすけど、サリ速いじゃないですか。

Q:パンチはちょっと貰ったらやばいなっていうのが?。

伊藤:そうですね、思いっ切りなんで。連打は無いんですけど。まあ、蹴りも弱くはなかったですけど。だからこないだやったルークと、ルークよりは強いけどそんなに差は無いような気はしないではないです。これからまあ、あの後進んでたらわかんないですけどね。あっちもムエタイスタイルなんで、エンジン掛けてくると思うんで。

Q:まあ、そこはスパっと勝ったわけですから。

伊藤:まあ最初からね、逆転肘ですか、こないだチャイナロンと誰かがやったじゃないですか、あれみたいな勝ち方かなと思ったんですけどね。

Q:(笑)。

伊藤:押されてて、ダウン取られて肘で勝って。

Q:(笑)イメージでは?。

伊藤:まあ、押してた、ましたよね?。

Q:押してた、まあ、ペースは掴んでたと思いますよ。

伊藤:まあ、入るかなと思ってたのが入ったんで。

Q:でも贅沢ですよ(笑)、盛り上げようとかって。

伊藤:(笑)そうですか?。でも彼も納得行かないだろうし、僕も未だやりたかったんですよね、こんなもんだったらぶっ倒せるって思ったんですよ。蹴りで潰してから、3R位バンバン蹴って腕潰した所でテンカオで行こうと、膝で行こうと思って。もうこれだったじゃないですか、モロ(ここでまたジョン・ウェインの構えをしてみせる)。モロこれですよね、だから絶対膝で倒せるなと思ったんですけどね。膝も強くなかったですし、一寸センティアンノーイが(セコンドに)ついてるのが嫌でしたけど。センティアンノーイ好きなんです(笑)、ショックですよ(笑)。

Q:(笑)。まあ、あのジムに行ってますからね。

伊藤:その圧力だけで。

Q:センティアンノーイだけ?。

 「センティアンノーイのファンなんです」

伊藤:僕ファンなんですよ、センティアンノーイの(笑)。

Q:あの伊藤さんの中の、あの、彼のイメージはどうでした?。あの、伊藤さんの、ま、試合前のあのウェインのイメージは?。

伊藤:いや、僕あの日本でやってる時はそんなに強いと思わなかったんですけど。タイで、あれは一寸調子悪かったんだと思うんですけど、タイでランカーとやった奴、あれは凄いバランスが良くて強いなと思ってましたよ。そっちが本当だなあと思ってたんで、もう絶対来るだろうなと思ってましたし。

Q:それが実際戦ってみたらそうでもなかった?。

伊藤:だから唯一突破口は、正面に構えてるんで前蹴りが入って、当たるからパンチが打てないようにしていくことかと。モロ正面向いてるんで、パンチ打つんだったら膝かミドルか全部。こう構えてるからモロ肝臓当たっちゃいますからね。何回かパンチにカウンター合わせられましたよ、確か。そう言うの狙ってましたけど。

Q:これで、サリも倒してジョン・ウェインも倒して、後はデニー・ビルくらいしかいないですね。

伊藤:デニー・ビルすか、体重が(笑)。まあ、そうですね、色々これから強豪とやらなきゃいけないと思いますからね。まあでも、あんな、あんだけ騒がれてる人間があんなもんだったら、僕もやれて、やって、やれないことないなって。サリの時は一寸、流石に疲れましたけど、今回5R行っても全然。サリのお蔭だと思うんですよ、サリとやった後だから。やってなかったらまた泡喰ってるかもしれないですけどね。

Q:今回特別な練習というのは、ジョン・ウェインに合わせた練習は?。

伊藤:ジョン・ウェインに合わせた練習はしてないです、ただウェイト・トレーニングを一寸加えただけで、体大きくして。そうですね後は何時も通りですね、自分のスタイルを出したかっただけです。蹴りで潰して、後はもう掴みに行こうかと思ったんですけど。首もうちょっと強いかなと思ったんですけどね、タイでやってるから。サリの方が全然強いです。首が思ったより、タイで勝ち上がってるから首が強いかなと思ったんですけどね。

Q:不思議な選手ですね。

伊藤:そうですね、やっぱりパンチが強いからですかね。パンチは確かにいいもん持ってますよ。

Q:あのウェイトアップしようって言うのは、どう言う?。

伊藤:72kg・・、ミドル位に行きたいんですよ。楽じゃないんで、70kg以下はもう、力出ないんで。

Q:あ、上の階級にもう。

伊藤:そうですね、どんどん。ま、どんどんって言ってもそんなには無理ですけど、今の所はミドル級迄に体を作りたいです。

Q:ウェルターはやっぱり厳しいと?。

伊藤:今76位あるんです、減量はもう、蚊のような蹴りになってしまうし。倒せないっすよ。

Q:ま、じゃ、上の階級でやるにはやっぱパワーつけなきゃいけないと言う?。

伊藤:そうですね。もうちょっとパンチ出来た方が楽ですよね、上の階級では。基本的には僕蹴りが好きなんで、もっと蹴りで見せたいんですけどね。体重が上がれば上がるほど蹴りはきついですよね。ジョン・ウェイン舐めてたんですかね?、俺のこと。

Q:それは無いんじゃないですか?。

伊藤:ああ、友達ですからね、ルークと友達ですよ。

Q:初回のは、右腕の方ばっかりでしたね。

伊藤:僕ですか?、あっちですか?。

Q:ジョン・ウェイン。

伊藤:そう、思ったよりディフェンスが速くないんで、タイでやってるからバッチリ、ディフェンスとか速・・、蹴り返しも全然来ないじゃないですか。蹴り返しもバンバン来るかなと思ったんですけどね、思ったより蹴ったら蹴られっぱなしとか、ガードしたらガードしっぱなしじゃないですか。攻撃してこないんで、アレっとか思いましたよ。

Q:新しいワイクーを考えてたみたいですね。

伊藤:バズーカでしたね、2丁拳銃やってくれるのかと思ってましたよ(笑)。

Q:(笑)。伊藤さんワイクーはやらないんですか?。

伊藤:いや、僕は出来ないっす(笑)。タイで試合したときも出来なくて、ブーイングだったんです。四方に礼して終わりだったんです。踊りは出来ないすよ、得意じゃない。はず、難しいじゃないですか(笑)。あのバランス崩れた事やるんだったらやらない方がいい、恥ずかしいし、疲れちゃいますし。でもタイじゃランカーじゃないですから、あれ。

Q:え、もう外れてるみたいですね。

伊藤:僕とやった時、サリもランカーから外れてたんですよね。

Q:ええ、丁度タイミング的には。

伊藤:皆失望したときに僕とやるから、外れちゃって失望した時に僕とやるから元気が無いんじゃないですか。

Q:(笑)。でも、まあね昔ランカーだったと言うよりも、つい最近までランカーだった選手ですからね。

伊藤:でも、あれでランカーになれるなら、ウェルター級は、そうですねウェルター級は層が厚くないですから。まあ強い選手は強いけど。

Q:行けそうな感じですか?。

伊藤:ランキングですか?。まあタイ人となるとね、またね、僕タイ人みたいなタイプ苦手なんですよ。こう、なんつうすんか、逃げ腰でやってパーンパーンと。ガッチリぶつかって来てくれればいいんですけど、チャンスが無いじゃないですか。何方かって言うと倒しに来てもらった方が、今日の肘みたく打てば、勿論ね、当たるじゃないですか、蹴りにしたって。

Q:でも前もKO勝してるじゃないですか、タイで。

伊藤:あん時は相手弱かったですから(苦笑)。

Q:これでどんどんランカー目指して。

伊藤:はい、そうですね。

Q:もう届かない距離じゃないでしょ?。

伊藤:そう・・ですね、ジョン・ウェインがあんなもんであれば。もう一寸後パワーをつければ。まあ出口は見えたかなって、光が一寸見えたような。未だ未だ課題一杯ですけどね。

Q:もっと喜んでいいのに(笑)。

伊藤:いやあ、俺もっと感触あるかなもっとガッチリ試合、凄い試合になるかなと思ってたんですよ。

Q:ああ、そう言う意味で一寸拍子抜け。

伊藤:なんか拍子抜けしちゃったんですね、期待、凄い期待っつうか、変ですけどね相手に期待するの。もっとガンガン蹴り返して、僕も蹴り合いをイメージしてたんですよ。絶対蹴り合いなら負けないぞと思ってたんですけど、蹴ったら蹴りっぱなしだったし、アレって思っちゃったんですよ。

Q:まあ終わりも終わりでしたし。

伊藤:コンビネーションが全然無かったじゃないですか。

Q:無かったですね、単発でしたね。

伊藤:何でですかね。最初は見てくるんだろうなって言うのは判ってましたけど、2Rになっても単発だったじゃないですか。

Q:見てたんじゃないですかね?。

伊藤:蹴りも強くなかったし、唯一ヤバイのはパンチだけで。(ここで同じ控え室にいたラビット関に)お疲れさん、凄い試合だったらしいね、すいません。申訳ないです。

Q:(笑)なんで謝るんですか?。

伊藤:いやまあ、関と土屋選手がね盛り上げてくれたんで、恥ずかしいです。

Q:そんなことないですよ、やった事考えれば。

伊藤:凄い盛り上がったじゃないですか、もうドキドキしましたもん待ってて。うわあ、俺次どうしようかなって思って、重量級だからなとかって思って(笑)。

Q:(笑)。

伊藤:どうやって盛り上げんのかなって思って。関凄いよとかって皆言ってるんですよ、やべえなあと思って(笑)。蹴り合いになんだろうと思ってたら、ああ言う風に終わっちゃいました。

Q:いやあ、何と言っても結果が全てですよ。

伊藤:そうですね。

Q:もっと喜んでいいのに、本当(笑)。

伊藤:なんか、なんか(苦笑)いまいち僕もあれなんすよ。

Q:次は決まってないんですか?。

伊藤:次は、聞いてないですね。怪我してたんですよ、僕。

Q:前から?、練習で?。

伊藤:練習で怪我してたんです。

Q:暫く無いんですか?。

伊藤:いやあ、あるんじゃないですか、10月か11月に。

Q:どんどんやらなきゃ。

伊藤:そうですね。外国人、バンバンやりたいですね。

Q:切りまくって。

伊藤:肘有りで。

Q:肘有りで。

伊藤:いやあ、でもあんな上手く入ると思わなかったですね。

Q:サリみたいな感じでやると思ったんですけどね。

伊藤:そうですね、パパパパンって来るのかなと思ったから出来ないかなと思ったんですけど、2Rから蹴りが来ないですから、あこれ肘当てちゃおうと。距離が凄い近くなかったですか?、なんか凄い近かったですよ。こらあもう肘、(縦肘の動作を見せながら)だからこれ狙ったんですけどね。

Q:ああ、縦のね。

伊藤:これでやりたんですけど、これが切れるとは思わなかったですよ。

Q:タイでジョン・ウェインにあったんですけど、この前。対戦相手の事俺は知らないんだって、どんな選手だって聞かれて肘の選手だって言ってしまって、ご免なさい(笑)。

伊藤:(笑)いや、いいすよ別に。それで尚且つ切ったから(笑)。新田選手もついてたし、新田選手も長いんですよ、一緒に食事したりしてるんで。計量からついてきてるんで、間違いなくばれてるだろうなと思って。今日は敵ですからねって言っときました(笑)、口ききませんからねって。

Q:(笑)。

伊藤:絶対肘は警戒してるだろうなと思ってたから、首からの肘は警戒してた。だからずっと僕のこと押えてたじゃないですか、腕巻きつけて。

Q:まあ(肘)入って良かったですね。

伊藤:そうですね、まだもう一寸やりたかったです。

Q:贅沢言って(笑)、そりゃあ贅沢(笑)。

伊藤:折角練習してきたのに、なんかあれじゃないですか。

Q:(笑)まあね、判りますけどね、気持ちは。自分は凄いと思いますけどね。

伊藤:距離が近かったんで、本当に、やりやすかった。

Q:お疲れさまでした。

伊藤:ありがとうございます。

Q:おめでとうございます。


収録・構成・写真:渡辺


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