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[第10試合 70kg契約特別試合]
伊藤隆 vs 永田健一
回の試合で、ルーク・ケントン(オーストラリア)を倒し念願の世界のベルトを手に入れた伊藤選手。インタビューからもその喜びの程がうかがえた(バックナンバー参照)。従来のウェルター級から、Jrミドル級に転向したが、本来の鋭いスピード感を失わずに、パワーアップも果たしたようだ。伊藤選手といえば、やはりヒジ、そしてヒザも巧くて強力だ。その反面、パンチの攻防に課題があることは指摘されてづけてきた。
 そのパンチを得意とするのが今回の対戦相手、永田選手である。プロボクシングのキャリアが3年あり、右ストレートには自信を持っている。また、ボクシングの陰に隠れるがローキックにも威力がある。
 パンチの距離で永田選手に付き合うと、伊藤選手といえども押し込まれる可能性はある。得意とする距離がお互い違うだけに、どちらが自分の距離・スタイルで闘えるか、その辺りが勝負の鍵となるだろう。



ラウンド1 藤選手が足を進めてワンツーからロー。永田選手がやや引いたところを前に詰めてミドルを蹴り込む。そして、永田選手がミドルを撃った所に伊藤選手がストレートをカウンターで合わせてダウンを奪う。その後も伊藤選手がミドルを中心に先手を取って、永田選手を制する。

 

ラウンド2 ドルからパンチの距離に入っても、伊藤選手がガードの開いたところにパンチを叩き込んで優位に立つ。永田選手は単発でローを返すが、パンチの手が出ない。ミドルレンジでの伊藤選手のプレッシャーが強い。永田選手が前に出るとテンカオを合わせ、コーナーに押し込むとパンチとヒジが交錯。

 

ラウンド3 藤選手のローに永田選手もローを返すがパンチに繋がらない。伊藤選手がワンツーを放つと永田選手もパンチに応じるが、間合いを外した伊藤選手は一気にロングから飛び込んで左ヒジを打ち込む。やや手が出るようになった永田選手がロングのボディストレート、左フックを撃つ。しかし、終盤、間合いを盗んだ伊藤選手がコーナーに押し込むと、強烈な左ヒジが永田選手の顔面を襲う。一瞬にして崩れる永田選手にとどめのヒザも突き刺してKO。

 
 


伊藤選手強し!。
永田選手有利かと思われたパンチも、それ以前のプレッシャーも効いて先手をとり続け、隙を見せなかった。とどめは伊藤選手の代名詞ともいえるヒジで仕留め、まさに完封殺。
 伊藤選手には、以前より攻撃に重さが加わったような気がした。減量苦などもあったのだろうが、この階級アップはベストウェイトを手に入れたという意味で、全体的な完成度のアップに繋がったようだ。体重と引換にスピードを失う階級アップが多い中、伊藤選手の挑戦は成功といえるだろう。
 課題と言われ続けたパンチも、一連の攻防の中で有効に使いこなしていたし、ヒジという必殺の一撃も備えている。キックボクサーとして、より完成形に近づいた感のある伊藤選手。世界のベルトを手に、次に挑む敵は誰だろうか。国内では、ジムの先輩港選手が2度敗れた金泰泳選手(正道会館)、自ら苦杯をなめた緒形健一選手(SB)、そしてMAのランカーも強豪揃いだ。さらに、世界に目を向ければ、この階級はスター選手の宝庫である。誰とぶつかっても、伊藤選手には期待ができるだろう。
 華やかさと強烈な攻撃性を併せ持つ伊藤選手の試合をみすみす見逃す手はない。是非、会場に足を運んで欲しい。
 

文 片岡

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