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[第13試合 日・タイ国際戦]
村上竜司 vs ウィチャーン・チョー・ロッヂャナチャイ
司さんの愛称で親しまれる強面のサムライは、これまでの数々の激闘と、選手として残された時間に思いを馳せて、「納得できる相手としかやらない」と心に決めている。昨年7月のK−1の舞台で、長年熱望していた角田信朗戦を実現させ、惜しくも僅差の判定で破れはしたものの、キック選手として、何か思うところあったのだろう。それから約1年。竜司さんの試合は組まれなかった。
 そして今日、竜司さんの久しぶりの試合の相手に選ばれたのは、ウィチャーン選手。188戦167勝21敗(88KO)という圧倒的な数字。元ルンピニー系ウェルター級王者の肩書。そして、阿部選手、若狭選手といった士道館の弟分選手を相手に無敗という琴線に触れる現実。どれをとっても、竜司さんを納得させるに十分な理由となるだろう。
ィチャーン選手は、首相撲だけでなく、パンチも巧く、そして重い。竜司さんがその距離に入って、剛腕左フックを叩き込むことができるか。決着はKO必至だ。




ラウンド1 魂隊を率いて堂々の入場。空手着を着たまま試合に挑む村上選手。村上選手がジリジリと前に出てプレッシャーを掛け、左右のロー、左ジャブを放つ。パンチの距離はすぐ詰まって両者ヒザを回す。村上選手に対して、ブレイク後にヒザを出したとして注意1が与えられた。

 
 村上のロー

ラウンド2 上選手が少しずつに前に出て左ミドル、右ローを積極的に出す。ウィチャーン選手は右ストレートから、すぐ組みついてヒザを出す。パンチの距離では右ストレートをためて撃ち、村上選手のガードの上から叩き付ける。やや村上選手の手数が少ない。

 
 ウィチャーンの肘をブロックする村上

ラウンド3 上選手が左右のロー、ウィチャーン選手は大きなパンチを振るう。村上選手が前に出ると、ウィチャーン選手が引いて、距離は変わらず。ウィチャーン選手は小さく前蹴りを重ねて、テンカオ。村上選手はローを中心にパンチを混ぜる。

 

ラウンド4 ング後前に出る村上選手。左のガードが下がったところにウィチャーン選手の右ストレート。続けざま前に出てヒザを出し、村上選手のパンチにテンカオを合わせる。村上選手はこれを避けてホールド。ブレイク後、ショートレンジでロープ際に追い込んだ村上選手がウィチャーン選手の右ガードの開いたところに左フック一閃。これでウィチャーン選手の意識が飛んだか、無防備になったところに再び左フック。棒のようによろけるウィチャーン選手を見たレフェリーがすかさず試合を止めた。

 
 村上の左フックが炸裂!


存していた左フックは、まさに必殺の左フックだった。最初の一撃でウィチャーン選手の目が宙をさまよい、とどめの一発が決まった瞬間、会場は大爆発。皆が竜司さんの勝利を祝福した。
 試合開始直後、早めに仕掛けるかとも思われたが、ジリジリと前に出て圧力を掛け続け、一瞬の間隙をついて持てる武器の全てを叩き込んだ。ウィチャーン選手も、持ち味の狡猾なヒザ、パンチのコンビネーションを見せたが、これに対して竜司さんは「ヒザで倒れるわけにはいかないでしょう」と言い切っていた。
 1年ぶりの試合を見事にKOで決めた竜司さんだが、これからどこへ向かうのだろう。そこにいるのは、黒澤選手か、外国の強豪か。いずれにしろ、竜司さんの選ぶ相手ならば、間違いないだろう。
 

文 片岡

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