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[第11試合 MA日本ライト級王座決定戦]
井上哲 vs 武藤孝行
の試合に登場する佐藤選手が保持していたMAライト級のベルト。その佐藤選手が、階級を上げてJrウェルターの暫定王者に認定されたため、ライト級のベルトを返上。空位となったライト級王座を賭けて決定戦が行われる運びとなった。
 対戦する二人は、ライト級1位の井上哲選手と同2位の武藤孝行選手。
 井上哲選手は、1月の興行では一足先にベルトに挑戦。佐藤選手に善戦したが、惜しくもドローでベルトを逃してしまった。井上選手というと、ヒジ打という印象が強いが、中間距離からの左ミドルも迫力がある。キック歴の長さからすると老獪なファイトをイメージしそうだが、実際の井上選手はアグレッシブだ。今日も、ガンガン攻めまくることだろう。
方の、武藤選手は士道館の成長株。デビュー以来、負け無しの6連勝。一気に王座決定戦まで駆け上がってきた若武者だ。やや直線的なファイトではあるが、ツボにはまったときの強さは注目だ。パンチの印象もあるが、キックとのコンビネーションもバランスが良い。
 佐藤選手と闘ったあとの井上選手は、他団体の王者の名を挙げて、MAライト級の底上げの必要性を語っていた。今日、自らがベルトを手にしてMAを引っ張るか?武藤選手が、王座について若さで引っ張るか?要注目の一戦であることは間違いない。



ラウンド1 ーの交換から始まるが、井上選手が一気にヒジ狙いで突っ込む。コーナーに押し込んで激しくヒジを打ちつける。武藤選手はワンツーとローキックから時折ヒジを振る。両者、隙を見てヒジを振るが、ガードを上げて防御。首相撲では、ポジションの取り合いで体を入れ替えるが、両者ほぼ互角で打開できず。

 
 井上得意の肘だ
 が武藤はガード

ラウンド2 上選手のローに武藤選手がワンツーを合わせてロープ際に。ショートレンジでのパンチの撃ち合いの合間にヒジを落とす。距離が詰まって首相撲になると、両者ヒザを回す。武藤選手のローに井上選手がヒジに武藤選手の顔面を捉えているが、依然左ガードは高く、堅い。

ラウンド3 藤選手がロー、井上選手がミドルを交換。井上選手はそこから首相撲で振り回して右ヒジを振る。武藤選手はパンチの距離でジャブからワンツー。やや武藤選手の目が腫れている。井上選手は武藤選手のワンツーをかいくぐって首相撲、そこから両者ヒザを回す。武藤選手は手を出すが、やや単発で封じられている。

ラウンド4 きなり首相撲から。組手にこだわらずにすぐにヒザの展開。離れて井上選手のミドルにカウンターでパンチを合わせる武藤選手。パンチがやや当たり始める。武藤選手は左のヒジも出し、右ヒジも角度を変えて武藤選手に叩き付ける。首相撲では井上選手が押し気味に進めたが、パンチの距離では武藤選手の手数と圧力に下がる場面も。

ラウンド5 相撲からヒザの出し合い。武藤選手が前に出てくるところに、井上選手が左ロングフックを入れ、距離を詰めて首相撲に。井上選手のヒザを出す機会が減って武藤選手がいいポジションをとる。武藤選手がミドルからパンチのコンビネーション、また組んでヒザを突き上げる。組み合うと、隙をついて下からアッパーを狙い、足を払って転がそうとする。終盤、両者激しくミドルやパンチで撃ち合うが、終了。

 ここで判定が下され、両者ドロー。決定戦につき延長1R。

 

 
 共に勝利をアピールする

延長戦 ドルからパンチの撃ち合いになり、首相撲でも激しく体を入れ替えて優位に立とうとする両者。ヒザではほぼ互角。ブレイク後、井上選手のワンツーがヒット。武藤選手の頭が下がったところにヒジを落とす。武藤選手はロングパンチから押し込んでショートの連打。首相撲でもヒザを間断無く出して手数で押す。井上選手の手数が若干減ったが、隙を見てパンチとヒジを狙う。武藤選手も最後までパンチを必至に出して、両者もつれたところにゴング。

 
 武藤のバックブロー


ベルトは武藤選手に。
 序盤こそ、若干井上選手のヒジに圧倒されてジリジリと下がる場面もあったが、試合が進むにしたがって盛り返し、最後はスタミナで若干優ったようだった。終盤に手数が減ってしまった井上選手に対し、コンスタントにパンチを出し続けた武藤選手がこの試合を制した。
 井上選手の、激しく、かつ執拗なヒジ撃ちは、気迫が前面に出て素晴らしかった。しかし、その熱い攻撃に折れることなく、ガードを固め得意のパンチにつないだ武藤選手のタフネスも見事だった。
 両者の熱い撃ち合いは会場を熱狂させ、本興行のベストの試合といえるだろう。

 今後の武藤選手には王者として、大きな試練が用意されるだろう。しかし、その試練を乗り切るには、今少しの決定力が必要かも知れない。今日は、我慢を強いられる展開になったが、武藤選手に決定的な一撃があれば、また試合展開は変わっただろう。
 バランスの良さに加えて、大きな武器を一つ。きつい注文かも知れないが、武藤選手の潜在力はもっと高いはずだ。若い新王者に更なる飛躍を期待しよう。

 

文 片岡


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