次の試合に登場する佐藤選手が保持していたMAライト級のベルト。その佐藤選手が、階級を上げてJrウェルターの暫定王者に認定されたため、ライト級のベルトを返上。空位となったライト級王座を賭けて決定戦が行われる運びとなった。 対戦する二人は、ライト級1位の井上哲選手と同2位の武藤孝行選手。 井上哲選手は、1月の興行では一足先にベルトに挑戦。佐藤選手に善戦したが、惜しくもドローでベルトを逃してしまった。井上選手というと、ヒジ打という印象が強いが、中間距離からの左ミドルも迫力がある。キック歴の長さからすると老獪なファイトをイメージしそうだが、実際の井上選手はアグレッシブだ。今日も、ガンガン攻めまくることだろう。 一方の、武藤選手は士道館の成長株。デビュー以来、負け無しの6連勝。一気に王座決定戦まで駆け上がってきた若武者だ。やや直線的なファイトではあるが、ツボにはまったときの強さは注目だ。パンチの印象もあるが、キックとのコンビネーションもバランスが良い。 佐藤選手と闘ったあとの井上選手は、他団体の王者の名を挙げて、MAライト級の底上げの必要性を語っていた。今日、自らがベルトを手にしてMAを引っ張るか?武藤選手が、王座について若さで引っ張るか?要注目の一戦であることは間違いない。
ここで判定が下され、両者ドロー。決定戦につき延長1R。
ベルトは武藤選手に。 序盤こそ、若干井上選手のヒジに圧倒されてジリジリと下がる場面もあったが、試合が進むにしたがって盛り返し、最後はスタミナで若干優ったようだった。終盤に手数が減ってしまった井上選手に対し、コンスタントにパンチを出し続けた武藤選手がこの試合を制した。 井上選手の、激しく、かつ執拗なヒジ撃ちは、気迫が前面に出て素晴らしかった。しかし、その熱い攻撃に折れることなく、ガードを固め得意のパンチにつないだ武藤選手のタフネスも見事だった。 両者の熱い撃ち合いは会場を熱狂させ、本興行のベストの試合といえるだろう。 今後の武藤選手には王者として、大きな試練が用意されるだろう。しかし、その試練を乗り切るには、今少しの決定力が必要かも知れない。今日は、我慢を強いられる展開になったが、武藤選手に決定的な一撃があれば、また試合展開は変わっただろう。 バランスの良さに加えて、大きな武器を一つ。きつい注文かも知れないが、武藤選手の潜在力はもっと高いはずだ。若い新王者に更なる飛躍を期待しよう。 文 片岡
今後の武藤選手には王者として、大きな試練が用意されるだろう。しかし、その試練を乗り切るには、今少しの決定力が必要かも知れない。今日は、我慢を強いられる展開になったが、武藤選手に決定的な一撃があれば、また試合展開は変わっただろう。 バランスの良さに加えて、大きな武器を一つ。きつい注文かも知れないが、武藤選手の潜在力はもっと高いはずだ。若い新王者に更なる飛躍を期待しよう。 文 片岡