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[第12試合 日本・タイ国際戦 68kg契約5回戦]
佐藤堅一 vs シティサック・トー・アヌソン
試合前のセレモニーで、今まで保持してきたMAライト級のベルトを返還し、新たに創設されたJrウェルター級の暫定王者に認定された佐藤選手。常に前へ前へと出て気迫をぶつける魂のファイトは、すなわち「士魂」の体現といえる。
 しかし、その前進を阻むヒザとミドル。シティサック選手のテンカオ、ミドルキックは、佐藤選手の士魂を挫くか。これまで、SBの吉鷹選手を初めとする数々の中量級の猛者を苦しめ続けた強烈な武器は、佐藤選手にとって、大きな壁となろう。
 階級アップの緒戦から、余りに強力な敵を迎える佐藤選手。シティサック選手相手にも士魂を見せつけることができるか楽しみである。




ラウンド1 藤選手が、先手をとる。左手をちょこちょこ前に出しながら、右ロー。左回りに進みながら、牽制のロー。シティサック選手は、佐藤選手のステップにテンカオを合わせる。佐藤選手は、ひるまず前に出るが、シティサック選手は、高いヒザ蹴り、左ハイなど強力な一撃で佐藤選手を突き放す。

 
 佐藤のミドルを軽く
 かわすシティサック

 
 首相撲に捉えて膝

ラウンド2 ング後すぐに佐藤選手は左回りでロー。そこからパンチの距離にはいると、シティサック選手はテンカオで応じる。佐藤選手が手を引くとすかさずそこに左ミドル。ショートレンジから首相撲になると、シティサック選手が首をロックして振り回す。ポジションのとれない佐藤選手に大きくヒザを回す。終盤、佐藤選手がロープ際に追い詰めてパンチの連打で攻め込むがクリンチに逃げられた。

ラウンド3 さく前蹴りでヒザを狙う佐藤選手に、シティサック選手のテッサイ。捕まって首相撲になると、振り回してヒザを入れる。この時、ロープを掴んで背中を蹴ったとして、シティサック選手に減点1。佐藤選手は捕まりそうになると、細かいフック連打とガードの下からアッパーを突き上げて暴れる。シティサック選手は首をロックして佐藤選手に横を向かせると、容赦なく脇腹や腰、背中にヒザ。佐藤選手は、なす術なし。

ラウンド4 ティサック選手の左ハイで崩れたところにヒザが入るがスリップに救われる。佐藤選手のショートでのパンチ連打を嫌がって、シティサック選手は首を取りに行く。その組み際を狙って、アッパーとフックのコンビネーション。シティサック選手は下がりながらテンカオを繰り出して、佐藤選手にパンチの距離を保たせない。

 

ラウンド5 右のショートパンチで詰める佐藤選手。シティサック選手はパンチには応じずに、隙をついてテンカオ。接近して組合になると、組み手がとれず横を向いてしまう佐藤選手。組み際と離れ際にパンチを狙うが、首相撲では勝負できない。時折、パンチのラッシュにシティサック選手が防戦に追い込まれるが、すぐ組みつく。ロングレンジでも、不意に左ハイや高いヒザ蹴りを狙うシティサック選手に、佐藤選手は今一つ持ち味を出せないまま終了。

 
 勝利をアピールするシティ
 サックとうなだれる佐藤


はりシティサック選手の壁は厚く、なかなか得意のパンチラッシュに持ち込めなかった佐藤選手。クラスアップ第1戦目は、苦いドローに終わってしまった。佐藤選手を評価するとすれば、絶妙な距離感を持つシティサック選手の巧妙にして破壊力十分なテンカオにためらうことなく前進を続けた点だろうか。
 しかし、首相撲では全くいいところなくヒザをもらい続け、時折飛んでくるハイキックや高いヒザ蹴りにあわやという場面も少なくなかった。王者としては、いささか安定感に掛けた試合となったことは否めない。結果としてポイント差は少なかったが、首相撲の評価によっては、よもやの大敗ということにもなっただろう。
 ここ数戦、不本意な闘いの続いている佐藤選手だが、階級転向を機に、また今日の対戦を糧にさらなるバージョンアップを図ってくることだろう。

 なお、この試合前にジョー山中氏の歌の披露があった。歌はいい歌であるし、山中氏の歌唱力は素晴らしい。しかし、既に選手がリングに上がって臨戦態勢に入ったあとに延々フルコーラス歌っては、その間待たされる選手の体は冷えるし(会場はエアコンがかなり効いていた)、士気にも影響を及ぼしかねないのではないか。選手も了承していたのだろうが、了承を求める以前に、このような進行の是非を考え直すべきではなかったか。入場テーマも両者の曲をかけ違えるなど、不手際もあった。もう少し、選手を大事にした運営をして欲しいと思う。  

文 片岡


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