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 [第12試合 68kg契約5回戦」
武田幸三 vs 高杉茂男
田選手は、7月に寺岡選手との壮絶な打撃戦を制して、王座の初防衛を果たしている。それまで毎月試合をしていただけに、蓄積された疲労と、その寺岡戦でのダメージが心配だったが、約2ヶ月の休養期間を経て、今日再びリングに上がる。
 鍛えに鍛えたその体躯から繰り出される重量感溢れる攻撃は、武田選手の魅力の一つだが、対戦相手がその攻撃にあっけなく崩れる試合も少なくない。武田選手自身も、試合後に不完全燃焼を訴えることもあったが、寺岡戦では久しぶりに満足のいく試合が出来たようだ。
 はたして、今日の相手である高杉選手は、どのような試合を見せてくれるか。高杉選手は、驚異的なタフネスを支えに、前に前にと出てはフルスイングのパンチで相手をねじ伏せんとするタイプだ。
 となれば、今日も打ち合いは必至。KO決着の可能性も高い。なかなか気の抜けない試合になりそうである。



ラウンド1 きなり飛び込んでミドルを放つ高杉選手。武田選手は、冷静にローを返し、前蹴りから、ローを連打。再び、勢いよく突進してミドルを打つ高杉選手だが、これは空振りして転倒。武田選手は、落ち着いて相手を見据えて前蹴り、ローを集め、コーナーに追い込むとミドルからロー、パンチへと続け、圧倒的に攻め込む。高杉選手はコーナーを背負い、時折大きなパンチや前蹴りで突き放そうとするが、武田選手はよく見ていた。

ラウンド2 田選手が左右のロー、隙を狙って遠くから右ストレートを放つ。高杉選手もローを返してローの蹴り合いに。しかし、武田選手が左ローでコーナーに追い詰めると右ロー、杉本選手の足を弾く。時折ローや大振りなフックで反撃する杉本選手だが、武田選手は、それに合わせて中に入り、左フック、ボディストレートを打ち込み、左右ローを集中。ローと右ストレートを巧く散らして、高杉選手の防御を許さず、ハイペースに打ちまくる。

ラウンド3 杉選手の前蹴りをキャッチして、ローを放つが、これは金的。左ロングフックからローへと繋ぎ、ロープ際に詰めてフルスイングして左右のローを叩き込む武田選手。接近すると肘を打ちつけ、高杉選手は必至に組みつく。武田選手はなおも攻め続けて、コーナーでフックの連打。フラフラと脱出する高杉選手を追いかけ、ボディストレート、アッパーで突き上げ、フック、左右ロー、と攻撃の嵐。高杉選手のヒジで、武田選手の左額の上が切れるが、傷は浅く、続行。高杉選手にヒジで行けという指示が飛ぶが、それに応える余裕はなかった。

 
ラウンド4 フックで飛び込んで、右ローを打つ高杉選手。しかし、武田選手は冷静に捌いて右ローでよろめかすと左ロー、右ストレート。下がりながら回る高杉選手を追いかけ、ローを連打。後ろを向けて逃げる高杉選手に、なおもロー。ロープ際、武田選手が右ストレート、左右ローと続けたところで、もはや動けなくなった高杉選手。レフェリーがダウンを宣言。カウントが数えられるが、一人で立てなくなっていた高杉選手にセコンドがタオルを投げ入れた。

 

田選手の圧勝には違いないが、高杉選手のタフネスにも驚かされた。すでに2ラウンドあたりから太股にみみず腫れが走り、おそらくは立っているのもしんどかったはずだが、その足でなおもローを蹴り返すという根性には脱帽した。
 もっとも、立っているだけではもはや武田選手の敵ではなく、武田選手がいつ倒すかが焦点となった。そして、4ラウンド、きっちりローで勝負を付けた武田選手はやはりさすがである。
 鎧のような筋肉を纏い、破壊力抜群の攻撃力を誇る武田選手、そろそろ協会内の日本人には敵がいなくなる頃であろうか。しかし次の試合は、まさしく強敵。パヤクレック・ユッタキット選手との対戦が決まっている。そのパヤクレック選手は、今日のセミで、左ストレート一発で本多選手を葬っている。同じく筋肉の鎧を纏った元ラジャの王者相手に、武田選手がどんな試合を見せてくれるか大いに期待したい。

文 片岡

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