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 [第12試合 日・タイ国際戦 73.5kg契約5回戦]
新田明臣 vs ヌンポントーン・バンコクストア
年末、小比類巻選手を下して以来、好調を維持してきた新田選手。会場での人気も高まり、まさに上昇気流に乗っているといえる。その原因は、得意のローに自信を持ち、自らのスタイルを築き上げつつあるといえるだろう。9月のタイツアーでも見事にルンピニーで判定勝利をものにし、凱旋試合となるこのヌンポントーン戦。果たしてタイ遠征での勝利の勢いそのままに、得意のローで大きな壁を崩すことができるか。
 一方、ヌンポントーン選手は、中間距離を省いて一気に飛び膝で襲いかかり、組み付くと、覆い被さるように肘を打ち込み、膝を回すという、嫌らしくも力強い選手。しばらく前に対戦した大谷選手は、ロープを背負って逃げられない態勢で飛び膝を顎に食らってノックアウトされている。当然、新田選手もそのことは想定しているはずだ。
 試合の方は、新田選手のローと、ヌンポントーン選手の飛び膝&肘という展開になるだろうか。重量級だけに、両者の攻撃がはまれば一気に勝負がつく可能性もある。当然、この試合も刮目して見るべきだろう。



ラウンド1 ンポントーン選手が長いリーチを確かめるように軽いジャブ。新田選手も軽くローを返す。リング中央で低いガードのまま構えるヌンポントーン選手の周りを新田選手がガードを堅めながら回る。新田選手が様子を見ながらローを出すと、ヌンポントーン選手はいきなりの跳び膝、そして間髪入れず肘。頭を抱えるようにガードする新田選手に「来いよ」と挑発するポーズのヌンポントーン選手。ロー、ロー、ミドルと新田選手も蹴るが、ヌンポントーン選手は、歩みを止めず、跳び膝、肘を重ねて振り下ろすと、前蹴りで突き飛ばす。そして、肘を警戒する新田選手の頭を押さえ込んで肘を打ち付け、膝を突き上げる。新田選手が押し込まれて下がると、これを追いかけて飛び膝、膝、肘と追いつめる。ゴングが鳴りインターバルに入ったとき、どの肘で切られたのか、新田選手がカットされていたためドクターチェックがなされた。



ラウンド2 離をとりながら右に回ってローをねらう新田選手。泰然としてローを返すヌンポントーン選手。時折ミドルやローを放つ新田選手に、前蹴りで距離を測りながら飛びかかるように膝蹴りを放つヌンポントーン選手。膝で飛び込むと肘を狙い、自分の得意な形に持ち込む。新田選手の左眉からは血が流れている。新田選手も下がりながらローを放つがやはり体重が乗っていない。前蹴りで吹っ飛ばされ、そのままヌンポントーン選手は押し込んで右ロー。ガードの意識が上段にいっている新田選手のカットがやや甘い。しかし、ガードの合間にショートフックの連打。ヌンポントーン選手は「効いてないよ」というアピール。



ラウンド3 田選手は右ローを打てば、ヌンポントーン選手は前蹴り。ヌンポントーン選手が長い足を生かして左の前蹴りで突き飛ばすとそのままミドルにつなぐ。新田選手もタイミングを覚えてきたのか、そのミドルにはローを返し、さらに右ローを重ねる。ヌンポントーン選手は肘を狙いにでるが、新田選手はローからワンツーをヒット。肘を防ぐためのガードは相変わらず高く、それを崩さないままローを出す新田選手。やや荒っぽく前蹴りを多用するヌンポントーン選手。終盤には新田選手のショートフックの連打も。

ラウンド4 っそりと前にでると前蹴りを放つヌンポントーン選手。新田選手の左ジャブにはテンカオをあわせる。新田選手はひるまずに左内股ロー、ヌンポントーン選手が捕まえにくるとショートフックで暴れてからローを返し、首相撲に持ち込ませない。やや疲れたか、両者見合ってから新田選手が左ジャブ、ヌンポントーン選手はテンカオを合わせ、気勢とともに膝を突き出す。ここで、再びドクターチェックが入るが程なく再開。ショートフックを集める新田選手にヌンポントーン選手は膝、さらにミドルを集め、飛び込んで肘、膝を繰り出す。



ラウンド5 蹴りを使って新田選手を近づけさせないヌンポントーン選手。新田選手はワンツーからローで前に出ようとするが、前蹴りに阻まれなかなか近づけない。それでも、遠目からワンツーを放ち、パンチからローへとつなぐと、さらにローを返し、ペースを作ろうとする。しかし、ヌンポントーン選手も容易にパンチの距離には入らない。両者の距離が詰まると新田選手はショートパンチの連打、ヌンポントーン選手は頭を上から抑え込んで膝を突き上げる。新田選手も何とかローを返すが、ヌンポントーン選手はショートレンジでは上から肘を振り、下から膝を合わせ、新田選手のパンチを許さない。終盤、ノーガードをアピールして挑発したりする。新田選手も終盤ワンツーをヒットさせるも、はぐらかされてゴング。




ンポントーン選手が序盤の肘、膝の攻撃でポイントを稼ぎ、それを守りきった。新田選手は、ヌンポントーン選手の肘を警戒し、常にガードを高めに設定。5ラウンド通じて、これを意識していた部分は評価できるが、残念ながらオフェンスに関しては、今ひとつ大きな壁を突き破ることができなかった。新田選手としては、なるべくならばショートレンジでパンチとローの勝負をしたかったようだが、ヌンポントーン選手の巧みな前蹴りと入られてからの肘、テンカオに阻まれ思うようにならなかったようだ。ヌンポントーン選手は前試合で大谷選手を飛び膝で壮絶なKO葬に仕留めており、その点の対策は、新田選手の準備に抜かりはなかったようだったが・・・。

文 片岡

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