モチベーションは保たれているか? 7月の仙台で笹羅選手(仙台青葉)を延長の末に下し(公式結果はドロー)、NJKFライト級王座への挑戦権を手に入れた高津選手。その相手となる王者は、昨年、王座決定戦を争った佐藤選手(名古屋JKF)である。この試合、高津選手が得意とするヒジ撃ちで逆に切り裂かれ、またしてもあと一歩というところでタイトルに届かなかった。 再びめぐってきたタイトルへの挑戦は、全日本時代を含め、4度目となる。しかも、相手は、昨年の決定戦と同じ佐藤選手。借りを返すとともに、初の戴冠の絶好の機会を得たといえるだろう。 しかし、タイトルマッチは流れた。佐藤選手が9月のタイ遠征で13針も縫う傷を負わされ、試合することがかなわなくなってしまったのだ。高まりかけた機運は、ここで失速することを余儀なくされた。 それでも、今日の興行で高津選手の試合は組まれることが決まった。が、はたしてモチベーションは維持されているだろうか?対戦相手は、高津選手の気合いの空回りを避けるためには、それ相応の選手が選ばれる必要があった。そこで、選ばれたのは、パーサタン・オーエンジャイ選手。あらためていうまでもなく、ヒジで片っ端から切り裂き、日本人キラーとして名を馳せているムエタイの選手である。対日本人連勝記録こそ、鈴木選手にストップさせられたが、依然としてそのヒジの脅威は十分すぎるもの。 高津選手の気持ち次第では、この試合、あっさり終わってしまうだろう。それとも、高津選手のモチベーションは維持されているのか?その時は、きっと高津選手の試合らしい、観客を巻き込むような熱い試合を見せてくれるだろう。
高津、気迫の勝利
高津選手、気迫の勝利。そして、次の照準は1月の佐藤戦に。 試合前には、早い回ならばパーサタン選手のヒジが高津選手を襲い、終盤まで行けばスタミナに優る高津選手に勝機、と予想していた。 確かに、序盤のパーサタン選手のヒジは、いやらしく隙をうかがい、鋭く振り下ろされる凶器そのものだった。しかし、それに負けずに応え、首相撲をよしとして渡り合った高津選手の技量と気迫が、中盤以降を完全に支配した。 高津選手の奪ったダウンは、その一撃でKOしても不思議のないものだったが、立ったパーサタン選手もいつになく気合いが乗っていたのだろうか。 しかし、心配されたモチベーションについても、ジムの仲間との練習に集中し、特に落胆したところを見せなかった。また、自身の引退への崖っぷちを意識し、佐藤戦では佐藤有利の下馬評に内心忸怩たる思いがあったというこの試合、高津選手の気持ちは、最後まで攻め手を休めず前に進み続け、名手パーサタン選手をヒザとヒジで圧倒。試合後、佐藤選手とイーブンのところまで来たことを宣言したが、確かにタイトルを争う資格を証明して見せたといえるだろう。 そして、次の試合は、おそらくは1月の佐藤選手とのタイトルマッチ。ますます、高津選手は頂点に向けて加速する。 最後に、会場の雰囲気にも触れておきたい。そう、観客の熱気が素晴らしかった。近時の高津選手の試合は、そのスタイルが認知されたのか、あまり日本のファンには好まれない首相撲にも、声援や掛け声が上がる。そして、ヒジやヒザの激しい打ち合いには「オッーイ!オッーイ!」という掛け声。いつも同じことを書いて恐縮だが、試合と一体感を覚えるようなこういう体験が、キックボクシングの大きな魅力となっている。これを読んでいる皆さんには、是非会場に足を運んでもらい、喜びを分かち合えるような試合に巡り会って欲しい。 文 片岡
最後に、会場の雰囲気にも触れておきたい。そう、観客の熱気が素晴らしかった。近時の高津選手の試合は、そのスタイルが認知されたのか、あまり日本のファンには好まれない首相撲にも、声援や掛け声が上がる。そして、ヒジやヒザの激しい打ち合いには「オッーイ!オッーイ!」という掛け声。いつも同じことを書いて恐縮だが、試合と一体感を覚えるようなこういう体験が、キックボクシングの大きな魅力となっている。これを読んでいる皆さんには、是非会場に足を運んでもらい、喜びを分かち合えるような試合に巡り会って欲しい。 文 片岡