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[K-1] 7.14 福岡 (レポ&写真):ミルコ、桜庭戦控え好調アピール。PRIDE軍3人にDynamite!賞

K-1 "アルゼ K-1 WORLD GP 2002 in 福岡"
2002年7月14日(日) 福岡・マリンメッセ福岡  観衆・11800人(超満員:主催者発表)

レポート&写真:井田英登

 【→大会前のカード紹介&記者会見記事】 [→掲示板・K-1重量級戦線スレッドに投稿をお待ちしています]

第7試合 3分5R
「南海の黒豹、一夏のハリケーンをロー殺」
○レイ・セフォー(ニュージーランド/アメリカン・プレゼント・ボクシングジム)
×ギルバート・アイブル(オランダ/ゴールデン・グローリー)
2R 2'07" KO

 ヴァンダレイ・シウバ狩りに名乗りを上げていたセフォーにとって、この試合は今後の展開の掛かった重要なものであり気が抜けない。対するアイブルの方は、昨日の記者会見で聞いた石井館長贈呈のDynamite!賞の3万ドル欲しさに、前回PRIDEでも使用した巨大イエローカードに「Dynamite!」と大書し、踊りながらのお気楽な入場を見せる。

 試合でも、いつもどおり野放図で単発なローとハイを振り回すアイブルに対し、セフォーはボディと顔面に散らしたパンチからきっちり右ローに集めていくコンビネーションを披露。暴れ馬アイブルの調教にかかる。しかし、アイブルもハリケーンと異名を取る男だけに、隙あらば必殺の飛びヒザでセフォーの追い込みを吹き飛ばそうとする。対するセフォーも豪快なアッパーを見せたかと思うと、ハイからパンチに繋いで 突っ込んできたアイブルをひょいとかわし、逆にノーガードで挑発。不良ぶりでもアイブルに1歩も引かない意地を見せた。
 2Rも、単発で遮二無二突っ込んでくるアイブルを闘牛士のようにかわしながら、徹底した右ローでダメージを奪う。セフォーの厳しい攻めに、アイブルはたまらずダウン。ダメージのあまり四つんばいでもだえ苦しみ、それでも気力で起き上がるが、セフォーはなおもローで畳み掛け10カウントを聞かせた。


 試合後石井館長は、会場を沸かせたアイブルの頑張り、武蔵とフルラウンド戦ったジョシー・デンプシーの根性、そしてジャクソンの意外に高かった打撃技術、これらを評価し、3万ドルのDynamite!賞を三等分して与えることを発表した。大会後も館長はこの件に触れ、「ジャクソンの頑張りは驚いたが、これでPRIDEの人間がどんどんでてきてくれるとうれしいですね。武蔵もデンプシーの頑張りに、口だけの男じゃないということを証明してくれたし、武蔵もこれを肥やしにいい男に育って欲しい」と外様勢の奮闘を高く評価した。

 アイブルは会見場に足を引きずって現れたが、その間もユーモアたっぷりに顔をしかめて「ノーペイン(痛くない)」を連呼。「PRIDEではこんなに際限なく打撃を浴びることもないし、こんなキツいキックは初めてだ。次はPRIDEへ戻りたい。とにかく今度は体の小さな日本人とやりたいよ、田村とかさ(笑)」。Dynamite!への参戦は「それはなんだ? PRIDEルールなら出るけど、キックはもういいよ」。K-1ルールはもうごめんだと主張したアイブル。折しも福岡は台風接近の前夜。K-1のリングの上を陽性のタイフーンがアッというまに通り過ぎていった

第6試合 3分5R
「イグナショフ、新“帝王”就任に向け、クリンチ地獄を逃げ切る」
×ピーター・アーツ(オランダ/メジロジム)
○アレクセイ・イグナショフ(ベルラーシ/チヌックジム)
判定2-0(49-49,48-49,48-49)

 この日アーツは、とにかく単発のパンチを振るうとクリンチに持ち込む消極戦法で、帝王継承へと意気込むイグナショフの気合を徹底して殺す戦法に出た。焦れたイグナショフはクリンチをかわして左右のパンチを振り回し、時にはあからさまに投げを放つような行為に出るが、アーツはそれにもめげずしつこく抱きつき戦法を繰り返す。首相撲を認めないK-1ではヒザを出す間もなくブレイクがかかるため、イグナショフはひたすらフラストレーションを溜める展開になる。

 4Rになると若干アーツもエンジンが掛かったのか、ミドルレンジからのパンチを放ってローへと繋ぐようになった。そのためイグナショフもカウンターの右や、飛び込んでくるところに高い打点のヒザを打ち込むといった攻撃が可能になってくる。しかし、これまでの時点で既に両者にはイエローが提示されるなど、ネガティブな態度に対するレフェリーの評価が厳しくなっている。イグナショフは下がりに下がってアーツの首相撲を崩しヒザを浴びせるなど、必死に抵抗しポイントを積み重ねていく。このままの展開では敗色濃厚のアーツは、ようやくハイを放つなど攻勢の気配を見せたが、時既に遅し。判定はやはり消極的だったアーツを評価せず、僅差でイグナショフに傾いた。

 試合後、アーツの明かしたところによれば、試合前のタイでのキャンプで、右足のスネの傷に膿が溜まっていたという。だが、石井館長はこうしたアーツの試合内容に危惧を表明。「(チャクリキジムから)独立した後、アーツを追い込んでくれるいい指導者がいないんじゃないかな。回りは着実に成長してるのに、このままでは置いて行かれるかもしれないね」と語り、アーツの東京ドームへの道に赤信号が点滅しているとの見方を示した。

第5試合 3分5R
「ターミネーター、桜庭戦向け好調アピール」
○ミルコ・クロコップ(クロアチア/クロコップ・スクワッドジム)
×レミー・ボンヤスキー(オランダ/メジロジム)
2R 2'06" TKO (レフェリーストップ)

 気負った様子のボンヤスキーのハイを、ミルコは序盤から受け流し余裕を見せ、自分の距離をキープ。随所で得意の左ハイで威嚇しつづける。ボンヤスキーの右ローには露骨に嫌がる動作も見せたものの、やはり試合をコントロールし続けたのはミルコだった。

 2Rに入って飛びヒザを見せるなど局面打開を試みるボンヤスキーだが、逆にミルコはハイからのパンチ連打でロープ際にボンヤスキーを追い詰める。頭を抱えてガード一方になったボンヤスキーは、なんとか体を入れ換えて下がるがミルコの連打は止まらず。左アッパーを食らってまずワンダウン。なおも攻め手を緩めないミルコの猛攻に、ボンヤスキーは一方的にパンチを浴び続けたため、島田レフェリーは試合をストップ。試合後ボンヤスキーはこのレフェリーストップに対し「ダメージはなかった。あのまま続いていればミルコはラッシュに疲れて、私が逆転できていたはずだ」と露骨に不満を表明した。
 対するミルコは大一番の桜庭和志戦を前に、ほとんど無傷で戦いを終えることができ一安心の様子。「今後アメリカとクロアチアの両方で総合の練習をするつもりだ。桜庭戦については与えられた条件のなかで最高の試合をする。“クロコップ精神”で立ち向かうつもりだ。」と述べた。

第4試合 3分5R
「武蔵、デンプシーの息の根を止めれず」
○武蔵(日本/正道会館)
×ジョシー・デンプシー(米国/ZERO-ONE USA [LAボクシングジム] )
判定3-0(50-45、50-46、50-45)

 前日記者会見で怪気炎を上げたデンプシーは、この日も後から入場する武蔵をリングの上から挑発。あくまでヒールキャラに徹する。しかし試合が始まってみると意外なほどの正統派のファイトスタイルで、スピードの乗った右フックで武蔵に果敢に攻む。だが1R、付け焼き刃風のローが武蔵の股間に入り、試合をぶち壊しにする気かと周囲に緊張をもたらす。だが角田レフェリーのキビキビしたレフェリングの甲斐あってか、それ以上の不測の事態は発生しなかった。
 一方武蔵は、近距離からの掛け蹴り風のハイを駆使してデンプシーの意表をつき、さらにショートのジャブを決め、確実にポイントを奪う。1R後半、コーナーにつめ連打を放つとデンプシーは腰をかがめる。ノックアウトの期待が集まったが、タフネスを発揮したデンプシーは倒れず。武蔵も中盤以降、下がりながらのカウンター狙いに作戦を切り替えたため、勝負は判定で決することになった。

第3試合 3分5R
「入れ墨バイキング、極真を寄せ付けず」
×グラウベ・フェイトーザ(ブラジル/極真会館)
○マーティン・ホルム(スウェーデン/ヴァレンテュナ・ボクシング・キャンプ)
1R 2'20" KO

単発ながら思いきりのいい右ハイでじわじわグラウベにプレッシャーを掛けていったホルム。意表をつく飛びヒザなどを交えながらペースをつかむ。最後は右のボディで潜り、反撃に飛びだしたグラウベのアゴを打ち抜いてダウン奪取。その後もロープに詰めてのパンチの連打。スタンディングダウンでKO勝利をかざった。

第2試合 3分5R
「場内騒然、アビディ大の字」
×シリル・アビディ(フランス/チャレンジ・ボクシング・マルセイユ)
○クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン(米国/チーム・イハ)
1R 1'55" KO

 なんと、アビディが返り討ちに遇ってしまった。
 序盤タックル風の動きを繰り返してクリンチしてくるジャクソンに「いつもの総合ファイターの付け焼き刃か」と軽視したK-1ファンも多かっただろう。しかし、これでジャクソンはアビディに中距離を取らなければという意識を植え込むことに成功。さらにジャクソンは突如戦法を変え、圧力抜群のアッパーで飛び込み、接近してフックを連打しプレッシャーをかけていく。そして右フックをかぶせる猛攻でアゴを撃ち抜き、何と先に純K-1ファイターからダウンを奪った。なんとか逆転したいアビディの突進に構わず、再びアッパー連打からのフックで2ダウン目を奪うと試合はストップ。マットに大の字になったアビディはアゴの脆さを露呈してしまった。

第1試合 3分5R
「宮本リベンジならず、ノブJAPAN GP前哨戦を制す」
○ノブ・ハヤシ (日本/ドージョー・チャクリキ)
×宮本正明 (日本/正道会館)
判定3-0 (30-27,30-28,30-28)

オープニングファイト
○藤本祐介(日本/MONSTER FACTORY)
×滝川リョウ(日本/日進会館)
1R 3'00" KO

Last Update : 07/14

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