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魔裟斗、ロックファンをKO !?/8.23 Black List 010 Black List 010 meets Wolf Revolution 前回のWR自主興業では、ZEEBRAとの共演を果たしストリートカルチャーとの融合を見せた魔裟斗だが、今回はホームグラウンドを離れ、ロック系イベントである“Black List”のステージにゲストとして招かれる形となった。出演バンドはGUITAR WOLF、 THE HIGH LOWS、Thee Michelle Gun Elephantと単独ライブで十分NKを満員に出来るトップ中のトップのロックンロールバンドが揃った。チケットの争奪戦も激しく、発売即売り切れ状況となったという。ジャンルは違うとは言え本物がその実力をぶつけあうその舞台で試合を披露するということは、魔裟斗にとって格闘技界の中での人気者にとどまらない高い知名度が認められたという事を意味する。それだけに、格闘技の知識を持たない観客を十分に満足させる試合を求められ、自主興行以上にインパクトのある展開を見せなければならない。 試合は魔裟斗が最近一番自信があるという右ロー中心に、単発の攻撃が目立つ滑り出しとなった。対するベン・バートンはWMTCライトウェルター級オセアニアチャンピオンという触れ込みの選手で、これまでにも二回にわたって一カ月程のタイキャンプを張り、ラジャダムナンスタジアムでも戦った経験があるという。当然スタイルは完全にムエタイスタイル。ミドルキックと右パンチの伸びがあり、顔面が開き気味の魔裟斗にそのフックをヒットさせる展開もみられたが、基本的に倒せるパンチを持った選手ではない。序盤から魔裟斗の繰り出す右ローをガード出来ず、腿を赤く染めながら踏みこたえる姿が目についた。事実、ラウンド終了間際には、魔裟斗の右のショートフックでぐらつき、コーナーに詰められて勝負あったかという気配になったが、ここはゴングに救われた。ところが、ここからがオーストラリア人選手らしいタフネスの見せどころだった。2R以降鼻血を流し、嵐のように魔裟斗のローを浴びつつ、ハーパーはリングに立ち続ける。ミドルにはミドルを、また魔裟斗得意の左フックにも右のクロスを返そうとするなど、いまいちコンビネーションに冴えの見られない魔裟斗の出来を差し引いても、結構な粘りを見せて頑張るのである。 会場には魔裟斗コールが鳴り響き、感極まった魔裟斗は客席にダイビングを敢行する。ロックファン、格闘技ファンの関係なく場内を盛り上げた魔裟斗は、ダブルメインの重役を果たし、トリに待ち受けるThee Michelle Gun Elephantに最良の形でバトンを渡した。相手が格闘技に特化した知識を持っていなくても、すっきりした形で試合を見せれば、小手先の話題づくりなどしなくてもきちんと客席に思いは通じる。魔裟斗のこの日の試合が客席に与えたカタルシスは、観客論の点で無法地帯化しつつある現在の格闘技界の在り方に、ある種のアンチテーゼを提出した形になったのではないだろうか。 |