現在、キック全団体を見渡してみても最も活気のある階級はライト級だといってよさそうだ。チャンピオンはいずれ劣らぬ強豪揃い、ランカーも充実しさらには生きのいい新鋭も次々に登場している。この現象は新日本キックとて例外ではない。特にチャンピオンの出場が優先され、5回戦の資格のあるランカーの出場機会は自ずと限られてくるが、それだけに今年の1月に新チャンピオンとなった石井宏樹の首を狙って、実力者揃いのランカー達が鎬を削る状況が続いている。今年の1月興行で元トップコンテンダーの井場洋貴を破ったマサルが一歩抜け出した感があるが、彼に続けと今回も石井への挑戦権を巡るサバイバル・マッチが組まれた。
禹英鉄は現在引分を挟んで3連勝中。そのファイトスタイルと同じく地道にコツコツとランキングを上げてきた。一方の中川は昨年の10月興行で当時1位の石井に破れている。上位ランカーの禹を破り、再浮上のチャンスを掴みたいところ。
まず仕掛けたのは中川。左ミドルから首相撲に捕らえ膝蹴り。ラウンド中盤までこれで試合の大半を支配する。しかし終了間際に中川がラフなパンチで仕留めようと前にでたところ、禹も応戦し打ち合いから禹の右フックがカウンターとなって中川の顔面にヒット、ダウン。いきなり禹が幸運なアドバンテージを得る。
2R、中川メキシコ人ボクサーの様なオープンなパンチを連打。禹は対照的にコンパクトなショートと肘でで対抗、さらに前蹴りで中川の前進を止めようと試みる。しかし中川しつこくパンチから組み付き、膝蹴り。3Rまではダウンを除くと気迫を全面に出す中川のアグレッシブ差が目に付く程度で、どちらかというと戦況的には膠着状態。
4R、中川が接近戦、肘と首相撲からの膝に活路を見いだす。禹は運動量が若干落ちた感じ。そして最終ラウンド、勢いにのる中川がセコンドの声援に後押しされて前に出る。パンチ、肘さらには強引に頭を抱えて膝蹴りの連打。一瞬、禹の反撃を受けロープに詰められる場面も見られたが首相撲で難を逃れる。スタミナを削り取られた禹、うつろな目でなすがまま。結局このままゴング。
うなだれる禹とは対照的にガッツポーズを繰り返す中川。まだやれるとばかりに腕立て伏せのパフォーマンスまで見せた。そしてジャッジも3Rからの勢いを評価して2人が中川の勝利を支持。初回のダウンを覆した中川が上位ランカーを破るある意味アップセットと言っていい勝利で、激戦のライト級戦線に踏み止まった。
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