7月2日に愛媛の松山で試合を行ったばかりの伊藤隆が早くもリングに復帰、韓国のウェルター級王者に快勝した。
前回の試合では「パンチで倒すことを意識して」得意の肘をあえて封印。しかしパンチにこだわりすぎて攻撃のバランスを欠き、チグハグな攻防に終始してまった。その為か今回のパンフで早くも「肘の解禁」を宣言。これは肘で倒すというよりも、攻撃のトータルバランスを考えての事だと思われた。
対戦相手のホー・ジョエンはゴングと同時に鋭いワン・ツーを放ちひやりとさせる。もし、伊藤が前回のようにパンチに拘り打ち合いに出ていたら余計な攻撃をもらって最悪倒されていたかもしれない。だが伊藤は冷静に対処。パンチに付き合わず、自分の得意分野である首相撲に持ち込みホーのパンチを封じ込めて見せた。そして組みながら肘を飛ばし牽制する。
以後、ホーは鋭いパンチや果敢に放つローで戦前の予想以上の健闘を見せたが、伊藤の完成度がそれを上回った。パンチは見切るかあるいは受けても額で。ローはカットして逆に相手のスネを割ってしまった。カウンターのパンチから連打で押し切ろうとすると左ミドルで寸断。序盤馬力と手数でペースを握ろうとしていたホーだが、試合が進むにつれてすっかり伊藤にコントロールされてしまった。
フィニッシュがまた見事だった。ホーの左アッパーから右をガードすると伊藤が肘を連打。怯んだホーに左ストレートを顔面にクリーンヒットさせると、動きのとまったところにパンチをラッシュ。完全にパニックに陥った韓国人が嫌がって思わず背けた顔に左ハイがジャストミートしダウン。そのまま10カウント以内にファイティングポーズをとることが出来ず、伊藤がKO勝ちを収めた。自身納得の行く試合運びだったのか、試合を振り返る伊藤の口調は終始余裕を漂わせていた。
またMAやK−1で計画されているウェルター級のトップを決めるトーナメントに対しても「いつでも出場する準備は出来ている」とコメント。このクラスをリードする存在であることを自負している伊藤は「ムラッド・サリでも、デニー・ビルでも強い奴なら誰とでも闘いたい。自分にはその資格がある」とも。次回の登場は9月を予定している。「ちょっと5日間くらい休んで、また練習します」。9月にはさらにバージョン・アップされた伊藤の姿を見ることが出来そうだ。