アメリカでの肉体改造に取り組んでいる山本。狙いは、ずばり、完全なヘビー級の体、115kg以上の「マーク・ケアーに力負けしない」肉体を作り上げること。
本来、この最初の標的は、小川になるはずだった。
しかし、まさかの土壇場キャンセル。
その憤まんの矛先となったのが、ヴァレンタイン・オーフレイムである。
山本の発表体重は105kg。決してマッチョな体型ではないが、胸板の盛り上がりが目に付く。顔を昂然と上げたいつもの姿勢。
対するオーフレイムは、顎をぐっと引いたクラウチング気味の立ち姿。前戦では、実力派の金原を、ハイキックで叩き潰している。噛ませ犬どころか、負傷欠場のブランクを取り戻し、着実にリングスの主役の座に近づきつつある。
いきなりロー、掌底と打撃戦に入る山本。
オーフレイムも、打撃は得意中の得意。ロー、ミドルと打ち返し、金原を潰したハイキック。山本、見事に食らったが、肉体改造の成果か、ちょっとよろめいただけで立ち直る。そしてお返しのハイ。
既に全開のファイトである。
突っ込む山本。コーナーにオーフレイムを押しつけ、差し、引きつけて回転しながらテイクダウン。マット中央にオーフレイムを倒す。ガード・ポジションを取るオーフレイム。上体を上げ、パスに行こうとする山本。オープン・ガードに移行し、足をこじいれて、突き放すオーフレイム。ここはスタンドに戻る。
再び激しい打ち合い。
山本のガードの中を抜いてオーフレイムの掌底アッパーが炸裂するが、これにも山本ひるまず、思いっきりミドルを打ち返す。膝で反撃するオーフレイム。再び突っ込み、コーナーに押しつける山本。
再度、差して倒し、上にのる。今度は、オーフレイムの足を取りながら、見事にパス。マウントを奪取する。
そのまま腹と鎖骨をがんがんに打ち付ける山本。
オーフレイム、タップ。アイブル戦で痛めていた左肩が、山本の鎖骨打ちで、脱臼してしまったのだ。
粉砕である。
山本に言わせれば、まだ100kg以上の体重に合わせた闘い方はできていないという。それで、これだけの「パワー殺法」。更に増量し、その体重とパワーをファイトに生かすようになったらどうなるのか。
前田日明のかつての姿が脳裏によぎる。
UWF時代ではない。新日への出戻り時代の前田。
クラッシャーの登場である。
<サポーター会員限定>
山本宣久、小川戦・トーナメント参戦を語る
結果一覧に戻る