マーシオ・クロマドは、修斗ライト級王者ノゲーラの推薦で来日したルタ・リーブリの選手である。バーリ・トゥードの経験はなく、ノゲーラ達と20日間準備のトレーニングをしただけだという。
それがいきなり宇野と当たる。
ノゲーラが、王者として、また、修斗をブラジルに普及させていく仲間として、修斗内に確かな地位を持って来ていることを伺わせるマッチメイクだ。
試合は、チャンピオンである宇野の方から仕掛け、修斗デビューのクロマドが出方を伺うという展開になった。
1R、双方相手の隙をスタンドで探りあう展開が続いた後、宇野がタックル。それを潰したクロマドが上から宇野の背中を抱え込む。と、いきなり、膝をとばし、宇野の頭部を強打。相手がグラウンド状態での頭部へのキック攻撃は反則である。ダメージがかなり残り、試合再開までにしばらくの時間を要する宇野。影響が懸念されたが、無事に再開する。その後、今度はきれいにタックルを決め上になった宇野だが、残り30秒。クロマドのガードを崩すには至らなかった。
2R、組んでコーナーにクロマドを押し込んでいく宇野。
相手の腿に膝蹴りをとばしながら、テイクダウンのチャンスを探る。対してクロマドは踏みつけに出るが、体勢を崩しそうになるばかりで、さほど有効そうではない。
このラウンドも、残り1分を切ったところで、宇野が上手く相手を回してテイクダウン。インサイドガードのポジションで終えた。
このまま宇野の優勢勝ちか、という雰囲気が漂い始めた3R前半、遂にクロマドが宇野のタックルを潰す。首を抱えて宇野をひっくり返してそのまま上にのり、首をがぶり、きっちりと引き込む。ノゲーラばりのフロントスリーパーである。
レフェリーが試合をストップする。
ウェルター級チャンピオン、まさかの一本負け。
ルミナを倒し、チャンピオンとなったまさにそのリングでの出来事であった。
宇野を倒したクロマドは、コミッションにより、ウェルター級2位にランクされた。当然、王位へのコンテンダーの有力候補ということになろう。
チャンピオンとしては借りを返さなければなるまい。