堂々、ゴーマニズム宣言!
 越境なんかあたりまえ。僕はプロのプロレスラーですから

Interview/Text : 横森綾
Camera : 井原芳徳

「ふわんふわんして、気持ちよかったです。」

 PRIDE GRANDPRIX 2000でのボブチャンチン戦以来、初めての試合を終えたアレクサンダー大塚は、ふわりとした笑顔を浮かべながらコメントした。

 インタビューをしたその日、クラブチッタ川崎では昼夜二興業が行われていた。昼はCMLLというメキシコの団体、そこでは、往年の名レスラー、ミル・マスカラスとドス・カラスがリングを飛び交っていた。そして、夜にはアレクサンダー大塚の所属団体、格闘探偵団バトラーツの興業。大塚の試合はタッグマッチ。みちのくプロレス所属の藤田穣とチームを組み、モハメド・ヨネ、佐野なおき組と対戦した。
 ボブチャンチンと壮絶な打撃戦を繰り広げたのが1月30日。この日の試合がわずか20日後の2月11日。東京ドームからクラブチッタ川崎へ。観客数は4万5千人から756人へ。ボブチャンチンと壮絶な打撃戦を繰り広げ、判定負け後のコメント時と同じように、この日のコメント時もふわりふわりとした笑顔を浮かべていた。

「ボブチャンチンとの試合では15分のうち、10分殴られましたから。松永戦の15分のうち、10分血を流していたのと同じですね。」

 ルールがどうとか、どういった趣旨の大会だからとか、そんな細かいことは関係ない。そんなもので彼の判断の尺度は変わらない。どこへ行ってもそこにいるのはプロレスラー、アレクサンダー大塚。
 プロとは何かといわれれば、その独自の絶対的な尺度でもって、おのれの強さをファンに示し続けること。

「次のバーリ・トゥードですか?やれといわれれば。自分の気持ち次第、相手次第ですね。あとケガと。ふつうの僕たちの試合だって、ケガしたらできないですから。ファンが待ってますからね、常に。そんなに簡単に休めないです。それが自分の体を滅ぼしていくのかもしれませんが。太く短くでもいいじゃないですか。でも、太く長くですよ。」

 どんな不敵な発言も、いつものふわりとした笑顔で言ってのける。スタイリッシュな軽やかさではなく、なんだか不思議な浮揚の仕方でどんなところでもひょっこりあらわれる。どこへ現れても違和感がないような、そうでもないような、独特の存在感がある。その存在感こそが、アレクサンダー大塚をして「プロのプロレスラー」と納得させる鍵となっている。それは、インタビューをした喫茶店の中でも確かに存在し、まわりを納得させるのだった。


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TABLE OF CONTENTS
バトラーツでもリングスでもPRIDEでも、いつでもどこでもプロフェッショナル
ファンのみなさん、もっとしっかり見てちょうだい
質素なバトラーツ家のとなりに絢爛豪華なアレクサンダー大塚邸
アレクサンダー大塚、第二章へ突入

 
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