K-1 7.7 代々木第二体育館:シルバ、フェルドンク、アキモフ、バクボード、ムシンスキ、アカピャン、MAX 70kgトーナメント決勝ラウンド進出海外勢の個性に迫るインタビュー
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7月7日(日)に東京・国立代々木競技場第二体育館で開催の「K-1 WORLD MAX 2024」のK-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント決勝ラウンド進出を決めた海外強豪たち一体、どんな選手なのか? 開幕戦を振り返りつつ、彼らの素顔を探ってみた。(記事提供:K-1 GROUP)
準々決勝(1) ストーヤン・コプリヴレンスキー(ブルガリア)vs. ブアカーオ・バンチャメーク(タイ)
準々決勝(2) デング・シルバ(ブラジル)vs. ダリル・フェルドンク(オランダ)
準々決勝(3) ヴィクトル・アキモフ(ロシア)vs. ロマーノ・バクボード(スリナム)
準々決勝(4) カスペル・ムシンスキ(ポーランド)vs. ゾーラ・アカピャン(アルメニア)
準決勝(1) 準々決勝(1)勝者 vs. 準々決勝(2)勝者
準決勝(2) 準々決勝(3)勝者 vs. 準々決勝(4)勝者
決勝 準決勝(1)勝者 vs. 準決勝(2)勝者
(※編集部注:ブアカーオ・バンチャメークの出場決定、オウヤン・フェンの欠場発表、ストーヤン・コプリヴレンスキーの代役出場発表前に収録されています。ブアカーオとコプリヴレンスキー以外の6選手のインタビューをお届けします)
“灼熱のビッグモスキート”デング・シルバ「国を背負って戦うことが誇り」
“灼熱のビッグモスキート”デング・シルバは、MAX世界開幕戦で璃久をTKOで下し大きなインパクトを残した。190cmの長身から繰り出される攻撃は破壊力抜群で、世界大会の台風の目となっている。元サッカー選手でデザインの専門学校に通っていた意外な顔を持っているだけではなく、相手の動きを緻密に研究する頭脳派ファイターでもあった。
――開幕戦の璃久選手との対戦を振り返ってみていかがでしたか?
シルバ「彼に関しては、試合前に過去の動画を見て研究し、欠点を把握した上で戦いました。動きが素早く技術の高い選手なのは分かりましたが、同時に弱点も見えましたね」
――どういう弱点が見えていたのでしょうか。
シルバ「彼の欠点は、前に出てプレッシャーをかけてくるけどディフェンスが甘いところ。それは、僕がブラジルで戦っている選手と同じような特徴を持っていたため、前進してディフェンスが甘くなったところをパンチか蹴りで仕留める作戦でした」
―― 璃久選手の実力は想定内だったと。
シルバ「はい。僕は、過去10戦に関しても、すべての相手に対しての研究をかなりして、10戦とも勝っています。璃久選手も、その部分に関しては研究して、ちゃんとKOで勝てたと思っています」
――いつも試合前は、相手のことを研究して戦略を練っているのでしょうか。
シルバ「常に対戦相手を研究し尽くすことが、勝つためには大事なことだと思っています。いつも、みんなから『そんな必要あるの?』と言われますが、前回の開幕戦は対戦相手のみならず、他のトーナメントに参加している選手全員を研究していました。今回も、準決勝・決勝に進むためにも、どんな相手が来ようとちゃんと対戦が練れる様に、帰国後すぐに、全て研究しています」
――トーナメント全員を研究するというのは、かなりの拘り方ですね。試合でのパワフルな姿とのギャップがすごいです。
シルバ「選手はジムに入門して、練習してリングに立つだけと思っている選手もいるかと思うんですけど、いいパフォーマンス、ちゃんと勝ち続けるためには、やはり対戦相手というものをきちんと研究する必要があります。しっかりした戦術を考えて戦う選手こそ、いいパフォーマンスをずっとキープできると思っています。研究というものは戦いにおいて最も大事なことだと思っています」
――ちなみに開幕戦は、自分以外に注目していた選手はいましたか?
シルバ「 ストーヤン・コプリヴレンスキー、次回の対戦相手のダリル・フェルドンクですね。ストーヤンは、21年10月にGLORYでブラジル人のブルーノ・ガザニから勝利した。ぜひ同じブラジル人としてリベンジしたいと思っていましたが、負けてしまったので残念でした。でも、フェルドンクと対戦できるので楽しみです」
――和島選手を倒したフェルドンク選手と戦いたいのは、なぜですか?
シルバ「フェルドンクの練習相手が、GLORY世界ヘビー級王者のリコ・ヴァーホーベンだからです。フェルドンクの戦い方は、パンチやキックにしろコンビネーションがとても良いと思っています。それはヴァーホーベンと練習しているので、とても強いと想像していました。その強い選手と練習しているフェルドンクにもし勝てるのであれば、自分にも名声とかついてくると思っています」
――フェルドンク選手が、前王者の和島選手に勝ちました。どう見ていましたか?
シルバ「和島に勝ったこともすごいと思いますが、和島は元王者。勝てるのは当たり前だったのかなと思っています。フェルドンクに関しては研究してみたら、欠点もいろいろ見つかっていますので、勝てたらいいなと思っています」
――組み合わせ抽選会では、オウヤン・フェン選手をみんなが避けました。彼に対する印象はありますか?
シルバ「オウヤンが和島に勝てたのは、オウヤンの気持ちの方が和島を上回ったからだと思っています。オウヤンは本当に強い選手。だからこそ自分は、彼と次戦で対戦するトーナメントの枠に入って、ケガが少ないうちに戦いたいと思いました。彼は今ナンバーワンだけれども、自分はブラジル国内でも一番なので、それを証明するためにも、戦いたいなと思っています」
――そもそも、あなたが格闘技を始めたきっかけは?
シルバ「18歳の時に『SENAI』というデザイン専門学校を卒業しました。だからといって就職があるわけでもなく、『何をしようかな?』とぶらぶらしてたら、ちょうどムエタイのジムがあったので、2011年にとりあえずそこに入ったことが最初です」
――ブラジルは、サッカーが盛んだと思いますが経験は?
シルバ「サッカーはやっていました。サンパウロのクラブチームでユース代表になったこともあります。2年くらいチームで練習していましたが、あまりうまくいかなったので辞めました。身長が190cmあるから、バスケットやバレーボールをやった方がいいといろんな人に言われたけど興味がなかったです」
――キックとMMAの2つをなぜやっているのでしょうか?
シルバ「実は、MMAは今年5月に初めての試合をする予定でしたが、K-1との契約もあるので、K-1を先にしてからあとでMMAをやりたいと思っています。ただオープンフィンガーグローブのキックボクシングの試合はしています」
――憧れのブラジル人の格闘技選手はいますか?
シルバ「元々、遅めに格闘技を始めたので18歳の時にはアンデウソン・シウバ、ヴァンダレイ・シウバとかいましたけど、すでに弱くなってきていたところだったので、どちらかと言うとムエタイのジムに入っていたので、むしろタイのブアカーオの方がよく見ていましたね。格闘技に入ってから、昔のブラジル人選手を見るようになりました」
――前回の試合が終わった後が、マンガ『ドラゴンボール』のかめはめ波のポーズをしていましたね。
シルバ「『ドラゴンボール』は昔からGT・Z・超(スーパー)全てを何回も観るくらい大好きです。最後の『ドラゴンボール超』に関しても、良かった。『ドラゴンボール超』をみて、改めて『ドラゴンボール』って良いなと思いました」
――なぜK-1に参戦しようと決めたのでしょうか。
シルバ「ムエタイのジムに入った時、ブアカーオの試合を見ているうちに、2004年のK-1MAXで魔裟斗との決勝がすごく印象的でした。そこから、『K-1ってすごいところなんだな』『トップの大会なんだな』と実感してK-1の試合を色々と見るようになりました。アーネスト・ホーストがいることを知って、トップ中のトップのK-1の舞台に立てて、優勝できることこそが、世界一のチャンピオンになるという事だろうなってことを思い描いていたんです。きっと、自分が強くなれば参戦できると思っていたので、それが来るまでずっと練習をして、実力をつけてきて、そこから12年後ようやく機会を得ることができて本当に良かったです」
――デング選手は、パンチよりキックの方が自信あるのでしょうか?
シルバ「ムエタイを始めた時はキックとヒザ蹴りが一番得意だったけど、キックボクシングをし始めたらパンチ力などの技術を身につけることができました。次の決勝トーナメントでも優勝を狙うには両方できることを見せつつ、パンチの方も重要だと思っています」
――無敗が続いていますが、今後どういうキャリアを歩んでいきたいですか。
シルバ「今までの人生は、サッカーにしろ、デザインの専門学校にしろすべて中途半端な人生でした。でも格闘技に入ることで、格闘技が今、プロとしてもずっと続けられています。格闘技を辞めることは今は考えられないし、K-1でももちろん優勝を考えています。優勝ができなくてもどんどん戦い続けて強くなりたいと思っています」
――日本のファンにメッセージをお願いします。
シルバ「K-1に出て以来、インスタで日本人ファンの方からの応援メッセージが寄せられるようになりました。温かいメッセージがものすごく心に沁みています。日本人が外国人選手に優しくしてくれるとは思いもしなかったので、応援っていうのは選手にとってとても大事なことだなと実感しています。自分のデビュー戦はブラジル国内でしか放映されなかったので、あまり知られていなかったのですが、今は全世界で見られるようになりました。私はブラジルを愛していますが、ブラジル人は日本に憧れるます。ブラジルを代表してK-1に参戦する、国を背負って日本で戦うことに、すごく誇りを持っています。7月7日は、世界一になり、ブラジルカラーの黄色いTシャツを掲げたいです」
“美しい人狼”ダリル・フェルドンク「オランダの新しい歴史を俺が作る」
“美しい人狼”ことオランダのダリル・フェルドンクは、優勝候補の和島大海を豪腕フックでマットへ沈めた。衝撃のアップセットで、その名が一気に世界へ広まった。振り返れば、2002年に開催された第1回MAX世界大会も、オランダのアルバート・クラウスが優勝候補の魔娑斗を破り、初代王者に。歴史は繰り返されるのだろうか。
――MAX世界大会開幕戦で倒した和島選手の印象を教えてください。
フェルドンク「和島が、もっと左ミドルキックを打ってくるだろうという予想をしていた。ミドルキック対策をしてきたので、意外だったね。ローキックやカーフキックで攻めてきたが、その後にミドルキックを蹴ってくると思っていたんだ」
――和島選手のミドルキックにカウンターを返していたので、向こうは警戒したのでは?
フェルドンク「そうかもしれないけど、ラッキーだったね。和島のキック対策として接近戦で戦うことを考えていたので、想像通りに自分の距離でフックを打つことができた」
――向こうはミドルキックで腕を潰しに来ると予想していたのですね。
フェルドンク「他人から見てみると少しごちゃっとした試合の印象があったかも知れないけど、何してくるか分からないようにするのが私たちのプラン。和島は非常に完璧さを求める人であって、それを崩すのが私たちの戦略だった」
――和島選手がペースを掴む前に倒すことが作戦だったのですね。それは、オウヤン・フェン選手が和島選手を倒す試合を参考にしていたのでしょうか。
フェルドンク「そうだね。オウヤンが和島と打ち合って勝ったのを見て、自分も打ち合ったら勝てると思い、同じ作戦(打ち合い)を使って効果があったんだ」
――元K-1チャンピオンの和島選手を倒して、自信にはなりましたか?
フェルドンク「いや、元々自身があるから、それは変わらない(笑)。K-1のチャンピオンになる力は自分にあるという事は証明できたので、そういう意味では自信は付いたかな」
――14年ぶりに復活したK-1 WORLD MAXのファイナルに進んだ事で、地元オランダでの反応はありましたか?
フェルドンク「最初、みんなにMAX復活を言った時に信じてもらえなかったんだ。でも、俺の試合を見てくれた人達みんなが、『すごいね』って言ってくれて、今は地元は盛り上がっているよ」
――フェルドンク選手が、格闘技を始めたキッカケを教えてください。
フェルドンク「自分の家は、とにかくスポーツをしなければいけない家系だった。4歳の時にサッカーを弟とやり始めて、5、6歳になってもあんまり面白くないなと感じ始めていた時に、おじいちゃんとK-1を見たんだ。その時に、アルバート・クラウス、アンディ・サワーが出ていて、すごいな~と思い、やりたいという気持ちが生まれた」
――そうだったんですね。
フェルドンク「それで、8歳の時にサッカーを辞めて、キックボクシングに移籍した。それ以降は、ずっとキックボクシングをやっているよ」
――格闘技一本で生活している? 他にも仕事は?
フェルドンク「メインの仕事はファイターであって、色んなスポンサーが付いてくれている。それとは他に、リングで学んだことをトレーナーとしてグループレッスンで教えているよ」
――格闘技以外の趣味は?
フェルドンク「ほとんどの時間はジムにいるんだけど、時間が出来たら彼女と食事や旅行したりする。自分の弟がとてもハイレベルなサッカー選手で、オランダのプレミアリーグのチームに入っている。そのチームは今年とても成績がいいので、もしかしたらヨーロッパのリーグにスカウトされるかもしれない」
――弟さんは有名なサッカー選手なのですね。K-1MAX初代世界王者のアルバート・クラウスさんと交流があるようですが、他は?
フェルドンク「K-1レジェンドは、クラウス以外はあまり交流がないんだけど、リコ・ヴァーホーベンと時々トレーニングしているよ。クラウスに『日本はどうだった?』と聞かれ、あとは準々決勝の相手のデング・シルバのことについて調べてくれていて、色んなアドバイスをしてくれて、俺のトレーナーと一緒に分析をしてくれている」
――それは頼もしいですね。クラウスさんと一緒に来日はしないんですか?
フェルドンク「どうなんだろう。その答えはアルバートにしか分からない。来てくれれば嬉しいけど、彼次第かな」
――決勝ラウンドの抽選会では、オウヤン選手をみんなが避けました。彼に対する印象はありますか?
フェルドンク「まず、俺がデングを選んだ理由についてだけど、抽選の前にトレーナーと話してデングが良いのではという話になったんだ。抽選会で自分の番になった時、カスペル・ムシンスキム、デング・シルバ、オウヤンの3人を選べる立場にいた。でもデングは、俺と戦いたいと話していたので、上等じゃないかと挑むことになったんだ。背は高いけど、俺はビビってないので『上等だ』という感じだよ」
――オウヤン選手については?
フェルドンク「現K-1チャンピオンなので、とても素晴らしいファイターだと思う。彼はプレッシャーに耐えることもできて、ボクシングもキックもすごい良い選手だ。でも彼と戦えば、絶対に3Rを戦かわなければいけなくなる。削り合いになるので、決勝トーナメントの1回戦では当たる事は避けたい。みんなそれで避けたんじゃないかな」
――開幕戦で他に印象に残った試合、選手ありましたか?
フェルドンク「テレビモニターがあちこちにあったので、全ての試合は見るようにしたけど、特に印象的だったのはアキモフvs中島の試合だ。素晴らしいKOが印象的だった(バックブローによるKO)。中島は手を下げて攻撃したのが悪かったんだろうけど、それにしてもアキモフのカウンターは良かったね。あとは、ロマーノ・バグボードは減点がありつつ、10オンスの大きいグローブもしていての延長戦で勝ったので、強いなという印象だね」
――強豪と見られていたタナンチャイ選手の敗北は、どう見てますか?
フェルドンク「非常にムエタイのファイターとしてよく対応したなという印象。クリンチもあまり無かったし、タイ式の足払いとかもなくて。ただバグボードのプレッシャーに負けた気がしたね。ムエタイの選手は1つ2つの単発の攻撃をする癖があるんだけど、キックボクシングの連打、コンビネーションっていうのはちょっと違う。それでバグボードはうまく戦い、ポイントで勝ったね」
――では、初戦のデング選手の開幕戦(vs璃久戦)を見た印象は?
フェルドンク「璃久は距離を埋めることができなかった。全ての攻撃はデングの距離にあって、璃久の距離を生み出す事はできなかった。倒れた後、デングは倒れてる相手にとどめを刺すように追いかけたけど、当たらなかった印象だね。彼が倒したというよりも、ケガで続けることができない感じだった」
――デング選手はこの階級では身長が高く、身長差があり戦いにくい相手だと思います。
フェルドンク「問題ないよ。オランダには背の高い選手が沢山いるからね。トレーニングパートナーの中にも、デングと同じ背の高さが2人もいる。大したことではないよ。ただ彼の一番危ない武器は距離をうまく使えている所。高さを本当にうまく使えている印象がある」
――評価はしていると。
フェルドンク「簡単だとは思っていないよ。結構アグレッシブなファイターだし、技術面で戦うというよりも、追いかけてプレッシャーかけるタイプ。打ち合うのは私も好きなので、打ち合いになるんじゃないかな」
――ワンデイで3試合戦うことになります。早いラウンドで決めたい?
フェルドンク「戦ってみないと分からないけど、自分の試合のほとんどは早く終わる場合が多くて、それを振り返ってみても、その確率は高いだろうね。出来るだけ早く終わらせたいとは思っているよ」
――優勝するために必要なことは何ですか?
フェルドンク「初めて1日3試合をやるんだけど、準備としていつもの様にすごくハードな練習をしっかりして、自分はスタミナがとても良いのでそれをまずは鍛えるよ」
――MAXのチャンピオンになったら、どんな未来がやってきますか?
フェルドンク「すでに元チャンピオン(和島)に勝っているので、現チャンピオン(オウヤン)にも勝ち、このトーナメントで優勝して俺が真のチャンピオンになる。そういう未来が見えているよ」
――14年前のMAX世界大会は、クラウス選手が優勝してオランダの強さを見せつける結果になりました。今回、あなたも伝統を受け継ぎたいという気持ちはありますか?
フェルドンク「歴史を振り返るというより、新たな歴史を刻みたい。オランダ人の伝説を受け継ぐというよりも、自分で新しい歴史を作っていくよ」
“ロシアンアドベンチャー”ヴィクトル・アキモフ「対戦相手よりも海の方が、全然怖い」
“ロシアンアドベンチャー”ヴィクトル・アキモフは、MAX世界開幕戦でボクシング出身の中島玲を大技バックブローでKOして注目を集めた。日本在住のロシア人は船乗りで、妻を追って来日したという。決勝ラウンドでも、あっと言わせることができるのか。
――K-1初参戦で勝利しました。
アキモフ「ありがとうございます。僕も有名になれたので、めちゃくちゃ幸せです」
――開幕戦は、中島玲選手からバックブローで派手にKOしましたが、あれは狙っていたのでしょうか。
アキモフ「はい。たまたま出して当たったというラッキーじゃなくて、最初からやろうと思っていた技です」
――しかも、2回もバックブローが当たりましたね。
アキモフ「準備していましたからね」
――開幕戦は直前の試合オファーだったと思います。
アキモフ「大会の3日前に試合オファーがあったんです。その10日前にも試合があって、休もうとしていた時にダニロ・ザノリニ先生からメールで連絡がありました。夜遅くだったので、ちょっと時間をちょうだいと言って、朝まで考えました」
――試合をしたばかりで、K-1という大きな舞台の世界トーナメントですから、考えて当然ですね。
アキモフ「ケガとかは何もなかったんですけど、朝までどうするか考えて、出場することにしました」
――初めてのK-1の大舞台はいかがでしたか?
アキモフ「前に出た日本の試合とは全然違うレベルでした。K-1は映画みたいな感じでしたね」
――アキモフ選手は日本での試合経験もありますが、格闘技のキャリアを教えてください。
アキモフ「12歳からボクシングを始めました。僕はウラジオストクで育ったんですけど、子供の頃から住んでいたところは街とかではなく、すごく小さな村で、ボクシングジムしかなかったんです。ボクシングの先生は、みんな男の子に技術を教えていました。僕は16とか15歳の時までそこでボクシングを習い、あとはK-1をテレビで見て、キックボクシングを始めるために街まで出て通っていました」
――プロになろうと決めたのは、何歳ですか?
アキモフ「練習が好きなので、プロになるとかは夢でした。ただ、一生懸命に練習をしていただけです。でも26歳になって初めてタイに行って、キャンプをやって試合をしました。向こうはプロも多かったですが試合に勝つことができて、プロになるのも悪くないと思いました」
――デビューは遅かったんですね。
アキモフ「プロになるつもりはなかったんですが、時間は今しかないので、やってみないと分からないからやったという感じでしたね」
――日本在住と聞いていますが、どんな経緯で来日されたのでしょうか?
アキモフ「ロシアのウラジオストクと日本は近く、日本のことはよく知っていて好きでした。妻も日本が好きで、先に日本へ行っていたんです。それで僕も、妻を追って日本へ来ました」
――仕事は?
アキモフ「ずっと海の仕事です。4カ月とか船に乗って海にいます。大きな船でガソリン関係の船になります」
――いわゆるタンカーですね。また海に出るのでしょうか?
アキモフ「今は行ってないです。でも、これからもいつ何があるか分からないので、いつでも行けるようにしています」
――船に乗ってしまっていたら、トレーニングはどうしているのでしょうか?
アキモフ「船には、サウナもあって、テレビもジムもあります。仕事外は、船の中で練習していました」
――最初に日本に来た場所は、富山県と聞いています。
アキモフ「そうですね。ずっと富山です。富山でもずっと練習はしていたのですが、さらにキックボクシングのレベルを上げるために、岐阜に移住しました」
――そこでダニロ先生に出会い、キックボクシングの試合経験を積んでK-1に参戦することになったわけですね。人生は何があるか分からないですね。
アキモフ「本当にそうですね。K-1が、僕につけてくれたニックネーム『ロシアンアドベンチャー』は気に入っているし、完璧だなと思いました(笑)」
――たしかに『アキモフの大冒険』という感じですね。アキモフ選手が考えるこれがK-1だという闘いはどういうものですか?
アキモフ「K-1という舞台は、単純に闘いだけを見せるのではなく、子供の頃から習ったこと、その技術や思いをリングまでの花道、前日の計量、すべてを通してみんなに見せることだと思っています。全てがプロという感じがK-1にあります」
――それを3月の開幕戦で感じましたか。
アキモフ「ええ。すべてがエモーションであり、人生で一番嬉しかったです」
――決勝トーナメント一回戦は、ロマーノ・バクボード選手に決まりました。抽選会では選ばれる形になりました。
アキモフ「受け入れて楽しもうと思いました。最初から戦いたいと思っていた相手だったので、よかったです」
――バグボード選手は、アキモフ選手の試合を美しいと思い、対戦に名乗りを上げたようです。
アキモフ「それは嬉しいですね。ありがとうございます」
――どんな展開になると予想されていますか?
アキモフ「チャンピオンになりたいので、最後まで頑張るしかないですね。自分の強いところは今は言わないので、試合で見てください」
――トーナメント出場選手で気になる存在はいますか?
アキモフ「好きな人とかは言えませんけど、みんなプロの選手なので同じです。今は、次の相手に集中しています」
――初戦のバグボード選手もそうですが、ブラジルのデング・シルバ選手は長身で攻撃力もあります。他の選手を見て怖さとかないですか?
アキモフ「怖いとかは全然ないですね、僕はファイターとしては小さいけど行くしかないので。日本語で表現するのは難しいんだけど、K-1っていうのは試合とかじゃなくて本当に闘い戦争ですね。勝つか死ぬかっていう感じです」
――それでも怖くないと。
アキモフ「海の方が、もっと怖いです。対戦相手よりも海の方が、全然怖いですよ。僕は、そこで鍛えられて強くなったのかもしれません」
――最後に7月7日の大会への意気込みを教えてください。
アキモフ「『ロシアンアドベンチャー』の活躍を楽しみにしてください。これからも、何歳になっても好きなことをずっと続けていれば、幸せになれることを証明していきます」
“ザ・モンキーキング”ロマーノ・バグボード「猿のマスクを被るのには理由がある」
“ザ・モンキーキング”ことオランダのロマーノ・バグボードは、“NEXTブアカーオ”と呼ばれるタナンチャイ・シッソンピーノンから判定勝ちを収めた。入場では猿のマスクを被って派手に現れたが、それには秘密があった。
――MAX世界大会開幕戦は、2週間前の試合オファーにも関わらず強豪のタナンチャイ選手を破りました。
バグボード「直前のオファーについては、特に問題だとは感じていなかったよ。人生で一番美しい出来事は、突然に決まるからね。それを受け入れれば、良いことは起きる。でも、試合直前に日本に来て体重がオーバーしたのは自分が悪い。それについては申し訳なく思っているし、ペナルティを受けることになったのは仕方がないことだ」
――直前のオファーで減量は苦しかったのでしょうか。
バグボード「それは言い訳にすぎない。でも、日本へ来る時の飛行機では水とキュウリくらいしか口にできなかったんだけど、マイク会長が横で美味しそうに機内食を食べているのを見て我慢していたね。これも試練だと思い、試合に集中していた」
――タナンチャイ戦で得たもの、収穫みたいなことはありましたか。
バグボード「あの時は相手の攻撃を待ってから返していこうと思っていたんだけど、待たなくて良いと勉強になったね。自分から攻めて自分の攻撃で終わらせるということだけを意識し、集中していた。自分のタイミングで攻めるということは、非常に勉強になった」
――タナンチャイ戦の対策はできていた?
バグボード「あまり準備する時間がなかったので、映像はちょっとは見たけど、それほど練習ができる時間がなかった。でも、自分が予想していたほどの重いキックではなかったのは意外だったね。キックが重いと聞いていたのと、アッパーも強いと聞いていたので、それに合わせる必要があるかなと思っていたんだけど、重いキックが来なくてラッキーだったかな」
――タナンチャイ選手の蹴りが少なかったことを驚く声も多かったようです。
バグボード「たしかに、キックが来なかったのは驚いたよ。強いヒザ蹴りやアッパーを待ってからの攻撃を考えていたので、あれは意外だったな。でもキックが来ないため、なかなか自分のタイミングで攻められなかったのも事実だ。普段なら自分のコンビネ
ーションをもっと出しているので、今回はもっと自分らしさを出せると思うよ」
――ところで入場では猿(モンキー)のようなマスクを被ってきましたが、あれは?
バグボード「猿のマスクを被るには理由があるんだ。俺は小学校の頃に、イジメられていたんだよ。モンキーに似ているとか言われて。その時は非常に辛かったけど、イジメられている時に、自分の中で“自分の弱みを強みに変えろ!”という声がしたんだ。それで、自分に起きることはすべて自分を強くしてくれるものだと思うようになっていった。弱みは逆に言うと、その人のオリジナリティでもあるし、特長だからね。若い時は自分の弱みだと思っていたけど、今はイジメられている人に、それを強みに変えることが出来るっていうことを証明していきたいと思っている。だからメッセージとして、試合ではモンキーのモチーフを見せつけているんだよ」
――イジメに遭っている人にメッセージを与えようとしていると。だから、背中にモンキーのタトゥーが入っているんですね。
バグボード「これは2年前くらいに入れた。18歳でプロになり、24歳に入れた。今26歳なんだけど、ずっとそれ(モンキーのタトゥー)を入れる夢を見ていたんだ」
――格闘技を始めたのは?
バグボード「5歳の時キックボクシングを始めた」
――スリナム系のオランダのK-1選手は、アーネスト・ホーストさんやレミー・ボンヤスキーさんがいます。
バグボード「レミーとは、18歳の時に一緒に中国へ行ったことがある。K-1の試合が終わった後も、2回ほどメディアでレミーとの対談を受けたよ。俺のFacebookに、その様子が載っているよ」
――K-1にはどんな印象がありますか?
バグボード「当時は5歳の時に、よく弟とK-1ごっこをしていた。レフェリー、審判、ファイター役まで自分たちで全てして、めちゃくちゃだったけど楽しかったな。今思うと、自分がそのK-1リングに立っているのが凄いなって思っているよ」
――K-1の舞台を経験したという実感は。
バグボード「リング上では感じる余裕がなかった。でも帰ってきて、もらったグローブ、トロフィーを飾って毎日見てるし、タナンチャイとの試合は1000回以上も見てる。自分が夢見ていた人生を生きているという実感は、これから出て来るだろうね」
――決勝ラウンドのこともお聞きしたいのですが、まず組み合わせ抽選会では、みんなオウヤン・フェン選手のことを避けて、あなたはヴィクトル・アキモフ選手を選びました。
バグボード「オウヤンについては、試合前も抽選会の時もよく知らなかった。でも、アキモフの勝ち方が美しくて魅力を感じたので、彼の所に行っただけ。それ以外の理由はない」
――どこが美しかったですか?
バグボード「あの試合はリングサイドで座って見ていたけど、アドレナリンで何が起きているのか記憶にないくらい勝ち方が美しく感じて、この人と戦ってみたいという気持ちが出てきたんだ」
――アキモフ選手は、中島玲選手をバックブローでKOしました。
バグボード「素晴らしい勝ち方をしたよね。気持ち良さそうに叫んでいたのを見て、それを奪いにいくぞと思ったよ。そいつには(中島には)効いたかもしれないけど、そのテクニックは俺には通用しないぞというのを思い知らせたい」
――どんなフィニッシュを考えていますか?
バグボード「あまり自分にプレッシャーかけたくないけど、ノックアウトすると思う。左で倒すよ。
ボディーか顔に当てて」
――MAXの70kgの階級で、憧れのスターはいましたか?
バグボード「一人ではなくて、マイク・ザンビディス、アンディ・サワー、魔裟斗、ブアカーオ、みんな僕にとっては特別な存在だよ。自分も、彼らと同じようにスター性を持つ特別なファイターとして活躍していきたい。そのためには何でもやるつもりだし、K-1と言えばロマーノと思われるようになりたいね。そして今後俺のことは“ザ・モンキーキング”と呼んでくれ!」
執念のラストマン”カスペル・ムシンスキ「MAXで自分の伝説を作りたい!」
“執念のラストマン”ことポーランドのカスペル・ムシンスキ(※ムジンスキから変更)は、開幕戦で外国人エースのストーヤン・コプリヴレンスキーを破り下剋上をはたした。世界トップクラスのストーヤンに「君みたいな選手が埋もれていたとは」と言わしめ、サプライズを起こした原動力はどこにあったのだろうか。
――MAX開幕戦のストーヤン戦は優勝候補との戦いだっただけに、まさにサプライズとなりました。
ムシンスキ「これまでトップファイターと戦う経験が今までにあまりなく、彼と戦えた事は自分にとって非常に良い経験でした。これから彼みたいなレベルの人と戦って勝つためには、何をすべきか参考になりましたね」
――優勝候補のストーヤン選手に、なぜ勝てたのでしょうか。
ムシンスキ「一番は、負ける怖さがなかったことでしょうね。私には失うものがなかったから。3R目、コーチに『全部出してぶつかって来い』と言われて、その通りにしたら右フックが当たって相手をダウンすることができた。怖さは本当になかったんです。挑むことのみ考えていました」
――母国での盛り上がりは、どんな様子でしたか?
ムシンスキ「兄もトレーナーをしているので、自分が所属しているジムの反応はすごく良かったです。勝った夜は、一晩中みんなにメッセージの返事を書いたりしていました。ただ、ポーランド国内ではキックボクシングはそんなに盛り上がっているわけではなくて、まだまだこれからという印象はあるんですけど、自分の住んでいる街では盛り上がっていましたね」
――試合後、奥さんとの会話では何を話していたのですか?
ムシンスキ「試合直後、ポーランドは朝の11時くらいで妻のジャネッタに『無事に終わったよ』と報告をしました。息子のアダムは昼寝から起きたばかりでしたが、試合の内容や結果について話をしました」
――ストーヤン選手は、「君みたいな強い選手がなぜ埋もれていたんだ?」と試合後に話していたようですね。
ムシンスキ「じつは、試合後のことはあんまり覚えていないんです(笑)」
――今回のアップセットについては、どう見ていますか?
ムシンスキ「実は開幕戦の3週間前、4人のトーナメントに出ていて、足のケガもあり、自分のコンディションが優れていなかったんです。でもお兄ちゃんのバーデックっから、『こんなチャンスは二度と来ないからリスクを背負ってでも、絶対にこれは出るべきだ』と言われ、出場する判断をしました」
――しかも、急なオファーでした。
ムシンスキ「ケガもそうだけど、減量もかなり厳しかったです。トーナメントで勝った翌週にオファーが来たので、試合が終わってからの1週間は、好きなだけ食べていたんです。ちょうど、
オファーが来る前日に妻とワイン1本空けて、すごく気持ちがいい時にオファーが来て。自分の調子はどうかな?と思い動いてみたら、調子は大丈夫そうだと思い、出場する決意をしました。でも、今回の減量はかなり厳しかったですね」
――試合後の家族との会話など、すごく家族思いの一面があります。K-1で優勝して有名になってお金を稼ぎ、家族のために強くいたいという気持ちは強いのでしょうか。
ムシンスキ「そうですね。金銭的に困らないように頑張りたいとは、いつも思っています。それと同時に、トーナメントに勝った際にはもっと強い相手と戦ってみたいという願望もあります。
家族を大事にしながら、その夢も追いかけていきたいです」
――あなたが格闘技を始めたのは何歳から?
ムシンスキ「キックボクシングを8歳に始めました。そして12歳でトーナメントに出始めました(膝、バックブロー禁止。ローキックありルール)」
――ファイター以外にも仕事はしていますか?
「家族もいるので、ファイター一本で生計を立ていなくてコーチの仕事をしています。ポーランドのポルカピッザやルビンという街でも、ジムを経営しています。1日8時間コーチをして、自分のトレーニングは1日2回やっています。大学時代は看護師の勉強をしていたんですけど、一生病院の中で過ごしたくないと思い、1年あまりで大学を中退しました。それからコンディショニングとストライキングのトレーナーをやってみたいと思い、今に至ります。人の身体を鍛えるコーチとして生きていきたいと考えています」
――格闘技を続ける一番のモチベーションはなんですか?
ムシンスキ「そのライフスタイルが自分に合っていて、厳しいトレーニングがとにかく好きですね。前より強くなること、隣のやつよりももっと強くなること。それが明確に分かるのが、格闘技の魅力ですね」
――理想のゴールはありますか?
ムシンスキ「今まで貧しい生活をしていたので、頑張っても評価もなく何も得られないことが多かった。でも、自分の階級で、ポーランドで1番になりました。その次は、70kgで世界のトップ3位に入りたい。そのためにも、今回のMAXでは絶対に結果を出したいです。そして、自分の伝説を作りたいですね」
――ポーランドのキックボクシングの人気はいかがでしょうか?
ムシンスキ「ポーランドではアマチュアの試合は非常に人気がありますが、プロがなぜか人気がないんです。MMAの人気は凄くあるんですけど、プロのキックボクシングの試合はほとんど注目されていない。プロ団体があまりプロモーションしてくれなくて、勝った人の宣伝を何もやらないんです。プロ団体のSNSには10万人くらいのフォロワーがいるのですけど、あまり投稿しなくてWAKOのチャンピオンがいてもプロモーションしてくれない。私は、それを変えたいと思っているんですけど、ポーランドでキックボクシングのイベントを成功させるのは、まだまだ課題が山積みですね」
――ポーランドのキックボクシング人気のためには、あなたの活躍にもかかっているということですね。決勝ラウンドは、注目されているゾーラ・アカピャン選手と初戦を戦います。抽選会では彼があなたを選ぶ形になりました。
ムシンスキ「別になんとも思ってなくて、彼が私を選んだのは勝てると思って選んだんだろうけど、今回は前回と違い充分な準備期間がある。減量で無理することもなく、苦労することもないので、ちゃんと準備が出来ているのであれば、あまり問題とは思っていないですね。私がストーヤンに勝っているので、無名ながら自分のスキルは証明出来たと思っているので自信がありますよ」
――アカピャン選手は優勝候補の一角と言われていますが、気にしていないと。
ムシンスキ「非常に強い選手であるのは間違いないですが、彼に勝った選手と自分の兄が話したことがあって、彼の強みと弱みを教えてもらった。どうしたら勝てるかも聞いてきたので、間違いなくいい試合になると思うし、もちろん私が勝ちます」
――かなり自信がありそうですね。
ムシンスキ「アカピャンに関しては、(タラス・)ナチュックからダウンを奪わなかったら、勝てなかったんじゃないかと思っています。そのナチュックを1Rで倒した選手を私は勝っているので、すごく自信がありますよ」
――最後に意気込みをお願いします。
ムシンスキ「大きなものを得るためには、あえて厳しく逆境の道を進むしかないと私は思っています。だからこそ今回の大会を選びましたし、私はベストを尽くします。大会当日は、ベストファイトを見せる自信があります。私の全てをぶつけて勝ちますので、楽しみにしていてください」
“悩殺の貴公子”ゾーラ・アカピャン「私の優勝の可能性は高い」
“悩殺の貴公子”ゾーラ・アカピャンは、チンギス・アラゾフを師に持ち、ロシアの格闘技イベント『RCC』で活躍するイケメンファイター。MAX世界開幕戦は、ウクライナのタラス・ナチュックを判定で下して決勝ラウンドへ進出した。
――MAX開幕戦ではタラス・ナチュック選手と対戦して、勝利しました。振り返ってみて、どんな印象がありましたか?
アカピャン「ナチュックの粘り強さには正直、驚きました。試合終了間際にダウンしても向かってきて、テクニックがもちろんのこと、最後まで諦めないファイターで打撃も強力でした」
――たしかにナチュック選手の評価は高いです。優勝候補のあなたが相手でなければ、彼は勝っていたかもしれません。師のチンギス・アラゾフ選手は、何か言っていましたか?
アカピャン「チンギスは、勝利を祝ってくれました。彼はスパークリングパートナーでもありますので、とても喜んでいました」
――アラゾフ選手は、具体的な戦略も立ててくれるのでしょうか。
アカピャン「いえ、試合についての戦略などはすべて専属コーチと立てています。コーチの分析を聞いて、私がリングで指示通りに動く関係です。チンギスとは、互いに勝利を祝いますし、互いに助け合って、試合の準備をしています」
――あなたのパーソナルのこともお聞きしたいのですが、何歳の時に格闘技を習い始めましたか。
アカピャン「スポーツをやり始めたのは6歳です。柔道教室に通い始めました。1年ほど通って、その後、水泳を始めました。水泳の後は、空手ですね。空手は、伝統派とフルコンタクトの2種類をやりました」
――柔道、水泳、空手ですか。積極的にいろいろなことに挑戦したのですね。
アカピャン「それから10歳の時に、地方のキックボクシングの教室に通い始めました。そこには17歳まで通っていました。当時、K-1で活躍するアレクセイ・イグナショフや他の世界的なスター選手の試合を見て憧れていましたので」
――イグナショフ選手が、憧れの存在だったんですね。
アカピャン「アレクセイが、有名なアンドレイ・グリディンコーチのもとでトレーニングをしていることを知り、そんな伝説的なコーチのもとで習いたいとずっと夢見ていました。それで17歳の時、首都ミンスクに引っ越して、グリディン・ジムに入ることができたのです。そしてアンドレイ・グリディンコーチに直接指導を受けられるようになりました」
――順調にキャリアを積んでいるのですね。自分が対戦相手より優れている点は何だと思いますか?
アカピャン「集中して戦うところでしょうか。戦っている時に、戦局を見極め、どうしたら力を出し切れるかを考えることができます。これは、とても重要なことと考えています。何も考えずに試合に出て戦う選手もいますが、自分が他の人より優れているのは、試合の状況を把握できる点だと思います。試合中に間違いを立て直すことができますし、戦い続ける力を見出すこともできます。対戦相手の隙も見つけることができます。そこが他の選手とは違うところだと思っています」
――たしかに勝ち抜くためには、修正力・対応力は必要なことですね。あなたが戦い続ける一番のモチベーションは何ですか?
アカピャン「自分で決めた信念、やると決めた目標と向き合うことです。自分が辛い時には、もちろん、それを思い出すようにしています。正確に言うと、思い出すというより、いつも頭の中にあります。自分の目標、自分の信念です。それが軸にあり、試合に出場し、トレーニングし、勝ち続けるためのモチベーションとなっています」
――3月に行われた決勝トーナメント抽選会では、多くの選手がオウヤン・フェン選手との対戦を避けました。
アカピャン「オウヤンは決勝に進む可能性のある選手の一人だと思います。非常に強く、スピードのあるファイターです。打撃のテクニックも非常に優れています。オウヤンは判定勝ちでしたが、十分に強い選手なので決勝まで進むでしょう。もちろん彼とは決勝で戦いたいです」
――決勝トーナメント初戦で戦う、カスペル・ムシンスキ選手の印象は?
アカピャン「カスペルと私は、ファイト・スタイルが似ていると思います。彼もカウンタ・パンチャーですし、2人でエキサイティングな迫力ある試合ができると思っています。日本には多くのK-1ファンがいて、見応えのある試合が大好きです。ファンが望んでいる試合をカスペルと見せられると思います」
――ムシンスキ選手は、あなたと並ぶ優勝候補のストーヤン・コプリヴレンスキー選手からダウンを奪い勝利しました。
アカピャン「ストーヤンは非常に強く、手強いファイターです。2人の試合は、とてもエキサイティングで迫力がありました。あのダウンがなければ、延長戦になっていたかもしれませんね。でも、やはり試合では少しも気を抜いてはいけないし、集中力を切らしてはいけません。一瞬の隙にダウンを奪われてしまいます。これは誰にでも起こりうることで、だからこそ準備が必要なのです。あのような状況に対しても準備できてこそ、戦いに勝ち抜くことができると信じています。自分は、そんなミスはしません。私の優勝の可能性は高いと信じています。優勝することだけを狙っています。優勝のためにはどんなことも恐れません」
―――開幕戦で、他に気になった選手や試合はありましたか?
アカピャン「印象に残ったのは、ロシアのヴィクトル・アキモフです。試合の序盤では、彼の規格外のテクニックに驚きました。中島(玲)の方が優勢に見えた時もありましたが、規格外のテクニック、綺麗なバックブローでKOに沈めました。あれには驚きましたね」
――7月7日のファイナルで優勝するためには、3回勝ち抜かないといけません。優勝するためには、どんな戦略が有効だと思いますか?
アカピャン「どの対戦相手に対しても戦術が必要だと思います。準備も必要です。現時点では、当たる可能性のある全ての対戦相手に対して準備しています。試合中に戦術を変えるかもしれません。そのために非常に強力なコーチ陣がついています。試合の展開は常に変わるものです。勝っている時もあれば、負けている時もあります。様々な戦術を取って行き、試合中に修正していくことも必要です。対戦相手が予想と全く違う戦いをする時もありますから。うまく行かない時は立て直さないと勝てません」
――どんな特別な準備をしていますか?
アカピャン「特別なことではなく、普段通り、真剣に勝つための準備しています。ナチュック戦後、トレーニング・メニューに従って準備しています。休暇は取らずに、すぐにトレーニングを始めました。ペースを大事にして、コンディションを保つようにしています。特別なことを普段からやっていれば、それは特別なことではなくなりますから。優勝を目指し、いつも通り集中して準備しています」
――あなたは優勝候補の一人としてファンの注目を集めていますが、最後にメッセージをお願いします。
アカピャン「私が日本で感じたのは、みんなK-1が大好きだということです。K-1ファンは本当に多いです。ファンのみんなは注目してくれますし、期待もしてくれます。宿泊しているホテルを出ると、写真やサインを求められます。K-1は皆に愛されています。K-1やキックボクシングは、武道の中で一番迫力があり、見応えのあるスポーツだと思います。ですから、ファンのみんなには応援して盛り上げてくれて、どうもありがとう、と言いたいです」
対戦カード
K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・準々決勝(1) 3分3R(延長1R)
ストーヤン・コプリヴレンスキー(ブルガリア/マイクスジム/元GLORYライト級(70kg)2位、MAX FIGHTライト級(70kg)王者)
ブアカーオ・バンチャメーク(タイ/バンチャメークジム/K-1 WORLD MAX世界70kgトーナメント2004・2006優勝、シュートボクシングS-cup 70kg 2010優勝、元WMC世界スーパーウェルター級王者)
K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・準々決勝(2) 3分3R(延長1R)
デング・シウバ(ブラジル/スクアドン・タイ・ブラジル/SFT COMBAT -70kg級王者)
ダリル・フェルドンク(オランダ/ファイトチーム・リンガー/元Enfusionライト級(70kg)王者)
K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・準々決勝(3) 3分3R(延長1R)
ヴィクトル・アキモフ(ロシア/ブラジリアン・タイ/元RKSウェルター級王者)
ロマーノ・バクボード(スリナム/ARJトレーニンゲン/GLOBAL FIGHTS -70kg級王者)
K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・準々決勝(4) 3分3R(延長1R)
カスペル・ムジンスキー(ポーランド/アルミア・ポルコビツェ/MFC・IRON FIGHTER・WFMCポーランド・WKSFポーランド-70kg級王者)
ゾーラ・アカピャン(アルメニア/グリディンジム/RCC Fair Fightウェルター級王者、FEA WGPライト級王者)
K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・リザーブファイト 3分3R(延長1R)
ペトロス・カベリーニョ[Petros Cabelinho](ブラジル/テイシェイラ・チーム/WGP Kickboxingウェルター級(71.8kg)王者)
セルジオ・サンチェス(スペイン/エリートJTタルデア/ISKAフリースタイル・世界スーパーウェルター級王者、WAKO-PRO世界スーパーウェルター級王者)
K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・準決勝(1) 3分3R(延長1R)
準々決勝(1)勝者
準々決勝(2)勝者
K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・準決勝(2) 3分3R(延長1R)
準々決勝(3)勝者
準々決勝(4)勝者
K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・決勝 3分3R(延長1R)
準決勝(1)勝者
準決勝(2)勝者
K-1 WORLD MAX 2024 -55kg世界最強決定トーナメント・一回戦(1) 3分3R(延長1R)
金子晃大[あきひろ](K-1ジム自由ヶ丘/FROG GYM/K-1スーパー・バンタム級(55kg)王者、元Krushバンタム級(53kg)王者)※K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフから所属変更
カン・メンホン[Kan Meng Hong](カンボジア/クン・クメール・インターナショナル・ファイトジム/IPCCクンクメール54kg王者)
K-1 WORLD MAX 2024 -55kg世界最強決定トーナメント・一回戦(2) 3分3R(延長1R)
璃明武[りあむ](K-1ジム総本部チームペガサス/Krushスーパー・バンタム級(55kg)王者)
アンジェロス・マルティノス[Angelos Martinos](ギリシャ/FFKポリティスチーム/ISKAフルコンタクト世界ライト級(61kg)王者)
K-1 WORLD MAX 2024 -55kg世界最強決定トーナメント・一回戦(3) 3分3R(延長1R)
玖村将史(K-1ジム五反田チームキングス/元Krushスーパー・バンタム級(55kg)王者)
アントニオ・オルデン[Antonio Orden](スペイン/El Origen Thaimartin/オルデンチーム/WBCムエタイ世界フェザー級王者)
K-1 WORLD MAX 2024 -55kg世界最強決定トーナメント・一回戦(4) 3分3R(延長1R)
大久保琉唯[るい](K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER/元Krushフライ級(51kg)王者、K-1甲子園2021 -55kg優勝)
ジャオ・ジェンドン[Zhao Zhendong](中国/深圳盛力人和ファイトアカデミー/CFP)
63.5kg契約 3分3R(延長1R)
与座優貴(team VASILEUS/K-1ライト級(62.5kg)王者、極真会館2017世界ウェイト制軽量級優勝)※K-1 GYM SAGAMI-ONO KRESTから所属変更
ゴンナパー・ウィラサクレック(タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム/元K-1&Krushライト級王者、元WPMF世界スーパーライト級王者)
フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
兼田将暉(RKS顕修塾/RKS&ACCELフェザー級王者、元RKSスーパーフェザー級王者、元HEATキックライト級王者、K-1甲子園2017 -60kg優勝)
寺田 匠(team VASILEUS/ISKAオリエンタルルール世界スーパーフェザー級(59kg)王者)※K-1 GYM SAGAMI-ONO KRESTから所属変更
女子アトム級(45kg) 3分3R(延長1R)
松谷 綺[きら](ALONZA ABLAZE/Krush女子アトム級王者)
チョン・ユジョン[Jung Yujung](韓国/ペバン・カンスンジム/Refresh女子-50kg級王者)
スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
晃貴(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元Krushバンタム級(53kg)王者)
池田幸司(ReBORN経堂/元Krushバンタム級(53kg)王者)
スーパー・フェザー級(60kg) 3分3分(延長1R)
横山朋哉(リーブルロア/Krushスーパー・フェザー級(60kg)王者)
カベロ・モンテイロ(ブラジル/CFハウス/WGP Kickboxingライト級(60kg)王者)
スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
山本直樹(K-1ジム五反田チームキングス)
松山勇汰(ALONZA ABLAZE/K-1甲子園2022 -60kg優勝)※TEAM TOP ZEROS/LARA TOKYOから所属変更
プレリミナリーファイト ライト級(60kg) 3分3R
川北“KONG”光生(K-1ジム蒲田チームアスラ)
上野空大[くうと](kickboxing gym SHINYUUKI+)
プレリミナリーファイト スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R
内垣内[うえがいと]一成(月心会ラスカルジム)
上野奏貴[かなた](kickboxing gym SHINYUUKI+/K-1甲子園2023 -60kg優勝)
プレリミナリーファイト スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R
内田竜斗(チーム・タイガーホーク/K-1カレッジ2021 -55kg優勝)
遥心[はると](K-1ジム総本部チームペガサス/K-1カレッジ2023 -60kg優勝)
プレリミナリーファイト クルーザー級(90kg) 3分3R
藤倉 悠(ポゴナ・クラブジム)
肉弾子[にくだんご](米子ジム)
出場予定選手
松倉信太郎(team VASILEUS/K-1ミドル級(75kg)王者、WPMF世界スーパーミドル級王者、元KNOCK OUT-BLACK同級王者、Krush YOUTH GP 2012 -70kg優勝、K-1甲子園2009 -70kg優勝)
概要
大会名 K-1 WORLD MAX 2024
日時 2024年7月7日(日) 開場・11:00(予定) プレリミナリーファイト開始・11:30(予定) 本戦開始・13:00(予定)
会場 国立代々木競技場第二体育館 [HP]
中継 ABEMA(生放送|無料)、GAORA
チケット料金 ロイヤル 100,000円 アリーナSRS 60,000円 アリーナRS 35,000円 アリーナS 18,000円 スタンドS 18,000円 アリーナA 10,000円 スタンドA 10,000円 スタンドB 7,000円(完売) ※当日500円増し ※小学生からチケットが必要
チケット販売 チケットぴあ イープラス ローソンチケット K-1.SHOP グッドルーザー K-1ジム各店舗 出場選手・所属ジム
お問い合わせ グッドルーザー 03-6450-5470 https://www.k-1.co.jp/contact/