Krush 6.23 後楽園ホール:フェザー級勢インタビュー 玖村修平「もう自分は終わりだと思った時、上京当時に書いたメモを見返した」×桝本翔也「KRESTの上が抜けた今はチャンス」|森坂陸「バカにされても反骨精神で立ち向かってきた」×松本海翔「若手と言えば俺でしょう」
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Krush.162(6月23日(日)後楽園ホール)に出場する玖村修平、桝本翔也、森坂陸、松本海翔のフェザー級4選手のインタビューがK-1 GROUPから届いた。
フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
玖村修平(K-1ジム五反田チームキングス/元Krushフェザー級王者、元NJKFバンタム級王者)
桝本翔也(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
玖村修平は玖村将史の兄で、22年8月のK-1フェザー級世界最強決定トーナメントでは一回戦でジャオスアヤイをKOしたが、準決勝で優勝者の軍司泰斗にKO負け。その後は12月のK-1では斗麗に判定負けし、昨年3月に森坂陸に敗れKrush王座初防衛に失敗し、9月のKNOCK OUTでは栗秋祥梧に1R KO負けし4連敗中だ。
桝本は20年7月に椿原龍矢に敗れた後、22年9月の鷹大戦まで4連敗する。昨年2月の福岡でのKPKBでは尚幸にKO勝ち。4月の中国武林風では中国の選手に3R TKO負け。今年2月のKPKBフェザー級タイトルマッチでは王者・瀬戸口礼に判定負けし、修平同様に負けが込んでいる。
フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
森坂 陸(エスジム/元Krushフェザー級王者)
松本海翔[はると](TAD)
森坂は33戦17勝(3KO)14敗2分の26歳。昨年3月に玖村修平に判定勝ちしKrushフェザー級王座を獲得。6月のK-1では椿原龍矢に判定負けし、10月のKrushで篠塚辰樹に敗れフェザー級王座から陥落し連敗すると、引退を表明し、今回が引退試合となる。5月10日の記者会見で森坂は「世代交代で新人を迎え撃つのが僕の役割」と話し、松本が名乗り出た。
松本は3戦3勝(1KO)の17歳で、試合の2日前に18歳になる、兵庫出身、構えはサウスポー。22年の第12回K-1アマチュア全日本大会 チャレンジAクラス-55kg優勝者で、昨年4月にプロデビューし、12月のK-1大阪大会のプレリムでは魁志を1R KOしている。
玖村修平「もう自分は終わりだと思った時、上京当時に書いたメモを見返した」
―― 昨年9月以来、9ヵ月ぶりの試合となりました。
玖村 前回、KNOCK OUTでの栗秋祥梧戦が1RKOだったので、周りには「試合間隔を空けてダメージを抜いた方がいいんじゃない?」と言う人もいたんですけど、それより自分としては一回、自分の環境を整えたいと思ってもいて。流れが悪い状態が続いていたので、切り替えるために整えていて、それがやっと形になって、試合するタイミングになったという感じですね。
―― なるほど。
玖村 前回の試合がああなるとは思っていなかったので。栗秋選手をナメていたわけではなくて、直前のアップでも周りの選手が驚いてくれるぐらい調子がよかったんですよ。でもリングに上がった瞬間に体が動かなくなって。緊張とかではないと思うんですけど、急に力が入らなくなって、試合に入り込めなかったんですね。いろいろやりたいこともあったんですけど、考えていたら一発もらってしまって。あの結果で、もう自分はリングに上がるべきじゃないんじゃないかと思ったんですよ。
―― そうでしたか。
玖村 「これが自分の終わりなのかな」ともすごく思ったので、このままやめてしまおうかなと。特に前回の試合はKNOCK OUTとの対抗戦でしたし、その1週間前には弟の将史が、K-1の舞台で金子晃大選手と壮絶な試合をして盛り上げた後でもあったので、あの負け方ですごく叩かれたりもしたんですね。栗秋選手が格下とは思ってないですけど、こちらは元チャンピオンだし、「弟は頑張ってるのに兄貴が足を引っ張ってる」とか「あなた、いつから勝ってないですか?」とか、そういう意見をたくさんコメントに書かれたりして。結果としてもこうなってしまったし、リングでも自分を見失ってしまったので、「もう自分は終わりなんだな」と思って。
―― ……。
玖村 でも2週間ぐらい考えて、いろんな人と話したり、上京当時に書いていたメモを見たりして、あの頃に感じていたことを思い返したりもしたんですよ。ケガとかで続けられなくなる選手とかもいる中で、「勝てなくなったからやめる」っていうのは違うなと思って。自分は器用なタイプじゃないんで、どんなに泥臭くても這い上がるっていうのをずっと言っていたんだから、もう一度、一からスタートすればいい話なのに、そこでやめてしまうというのは、今まで言ってきたこともウソになるなと思って。自分のそういうところを応援してくれるファンの方とかスポンサーの方とかもすごく多いので。
―― そういう方たちのことも浮かんだわけですね。
玖村 それに最近は自分のジムを出したりもして、言い訳とか逃げ道を考えていたところもあったんですよね。練習にも100%打ち込めているとは言えない状態だったので、そこを全部整えて、昨年10月ぐらいにはいつでも試合できる状態にはしていたんですよ。ただいろんなタイミング的に、ここで試合することになったんですけど。
―― では、今はいい状態なんですね。
玖村 そうですね。今は格闘技に打ち込めていますし、「これだけやってダメなら仕方ない」というぐらい練習もできています。去年、栗秋戦の前に取り入れていたことも、今思えば、あの時点ではちょっと浅かったなというのがあって。それも改めて一から作り上げてきたので、この期間やってきたことでどれぐらい自分が新しくなれたかなというのを試したいという気持ちが強いですね。「絶対勝たなければならない」とかよりも、「今の自分がどこまでできるんだろう」という楽しみの方が大きいです。
―― そんな状況で、桝本選手との対戦というのは?
玖村 一番、今の自分を試せる相手ではあるなと思ってます。レベル的にも負けられない相手だと思うし、桝本選手も最近は勝ててないとは言え、ちょっともったいない負け方が多かったと思うんですよね。だから桝本選手の最近の試合と比べても、「ちょっと格が違うな」というところを見せたいなと思ってます。そこでも「ものが違うな」と思わせたいというのが、モチベーションになりました。
―― 両選手とも、パンチで倒すことを一番に考えているタイプだと思います。打ち合いに持ち込みたい?
玖村 打ち合いにはならないかなと思います。それこそ「圧倒的に倒します」とか「一発で勝ちます」とか言う選手も多いですけど、僕のテーマは「触れさせない」です。今の自分にはそれができると思ってるので、いかにそのテーマを実践できるかですね。桝本選手がどれだけ練習してるか分からないですけど、その何倍も賭けてる自信があるので、正直、やってるレベルが違うと思うんです。上からじゃなく、それを見せる試合にしたいです。もし打ち合いの場面になっても、ファンの人が安心して見ていられるような、僕だけの展開で終わる試合をするのが理想ですね。
―― 久々のKrush参戦で、勝ったらその先は……。
玖村 Krush王座を失った試合を巡るもろもろについては今でも思うところがあるんですけど、そういうのも含めて栗秋選手のあの一発で目を覚まさせてもらったということについてはすごく感謝してるんですよね。あそこで勝ってたら天狗になってたと思うんで。結局どこのリングであれ、今の僕はイチからやらないといけないので、この悪い流れの元になったリングでやり直して再スタートするのがいいかなと思ったんですよね。そこからもう一回上がっていってこそ、いい流れになるのかなと。栗秋選手に感謝しつつリベンジするというのは一つの目標としてもあるし、まだK-1のベルトにも届いてないし。今、僕に期待してくれてる人はかなり減ってしまっているので、そんなところからでも諦めなかったらやれるんだぞという姿を見せたいという思いは強いです。
―― では最後に、改めて今回の試合への“決意”を教えていただけますか?
玖村 今までやってきて、チャンピオンにもなったし、手に入れたものもたくさんあるんですけど、その全てを手放してイチから格闘技に向き合ってきました。今年の1月には1人で3週間タイに行ってきたんですけど、知ってる人もいない、言葉も通じない環境の中で毎日血だらけになって、そこでも自分と向き合ってやってきて。それも含めてこの9ヵ月間、しっかりやってきた覚悟というものを見せたいなと思ってます。
―― 分かりました。ありがとうございました!
桝本翔也「KRESTの上が抜けた今はチャンス」
―― Krush出場、後楽園ホールでの試合、ともに久しぶりですね。
桝本 いや、特にそんなに何も思ってなくて、まあ久しぶりだなっていうぐらいですね。
―― 今回の試合、桝本選手としてはどう位置づけていますか?
桝本 やっぱり相手が相手で、元チャンピオンだしけっこうビッグネームな選手なので、オファーがあったときはもうすぐに受けさせてもらったし、モチベーションがすごく上がって、気合は入ってますね。
―― 玖村選手の戦いの印象は?
桝本 けっこうルックス的にはイケメンですけど、ファイトスタイルは打ち合い上等で、すごく熱い試合をしてくるなっていうイメージがありますね。中途半端にやってたらやられるなという。
―― 「打ち合い上等」という意味ではお互いに近いものがあるのでは?
桝本 そうですね。向こうが打ち合ってくれるならこっちも打ち合いに行きます。自分は結局、中に入って勝負していかないと全然試合にならないと思うので、打ち合いたいですね。
―― 玖村選手も距離を取ってどうこうっていう相手じゃないですからね。そういう意味では、もうやることは決まっている?
桝本 はい、決まってます。変わらず……なんですけど、パンチだけじゃなくて、中に入ってからの蹴りだったり、いろんな攻撃を出していきたいですね。
―― このところはあまり結果が出ておらず、「崖っぷち」対決という言われ方もしていますが、そこについては?
桝本 もう間違いなく自分は崖っぷちだと思うし、相手も最近勝ってないので、本当に崖っぷち対決で、どちらかが生き残って、どちらはいなくなるという一戦だと思います。
―― なかなか結果がついてきていない状況については、どう捉えていますか?
桝本 自分はけっこう不器用なので、力負けとかじゃなくて、うまくやられたなっていうイメージが強いですね。やりたいことができなかったなというのもありますけど。
―― 勝っている時との違いというのは?
桝本 勝ってる時と、ファイトスタイルが微妙に変化してきてるのかなと。自分は左フックを当てて倒すいことが多いんですけど、それを警戒されて、自分が何か違うことを変にやりすぎるというか、迷いが出たというか。
―― やっぱり左フックが強烈なだけに、相手からすると「そこさえ警戒すれば」みたいになりますよね。そこに行き詰まりを感じてる部分も?
桝本 そうですね、行き詰まり感もあったんですけど、でも結局自分はこの左しかなくて、左を当てなきゃいけないので、そこは通していくしかないかなと。だから、これを当てるためにいろんなやり方を試してみたりしていて、うまくハマってくれれば、今回も倒せると思います。そこをどううまくハメていくかですね。
―― その時に、玖村選手との相性とかいう話にもなってくると思うんですが。
桝本 自分が中に入れたら、たぶん向こうも打ち合ってくると思うので、そこは相性的にはいいと思います。自分がどれだけ打ち合いに持っていけるかがカギというか、勝負だと思います。
―― ここで倒して勝てて、以前の感覚が掴めれば、今後にもつながると。
桝本 はい。K-1 GROUPのフェザー級は今、激戦区なので、またそこで荒らしに行けるというか間に割って入って行けるかなという感じですね。
―― 今、KRESTは大きな変化がありますが、そこはどうですか?
桝本 上の、チャンピオンの選手たちが抜けた状態で、「今、KRESTは大丈夫なの?」ってけっこう言われるんですけど、ある意味チャンスですよね。残った選手たちの中で勝ち上がったりいい倒し方をして目立てば、またスポットが当たるというか、成り上がっていけると思うので、ある意味、自分はチャンスだと思ってます。あとはやるしかないという感じです。今見てくれてるトレーナーさんたちを信頼して、自分はやるだけなので。
―― 今回勝って、その感覚を取り戻したら……
桝本 やっぱりベルトに絡んでいきたいですよね。K-1もKrushも両方、ベルトに絡んでいきたいです。そのためにも、ここで上がるか落ちるかなので。
―― この間、K-1にもKrushにも大きな変化がありましたが。
桝本 また面白くなってくるなというか、いろんな団体のいろんな選手、世界からも日本国内からでも、いろんな選手が上がってくると思うので、また激戦区になるし、強い人とやるチャンスが増えるから、自分は全然いいかなって思ってます。
―― そこに加わっていくためにも、左フックを決めて勝たなければと。
桝本 そうですね。左が当たったら倒れると思うので、どう当てるかですね。
―― では最後に、今回の試合への“決意”を、改めて教えていただけますうか?
桝本 Krushというのは、ただ勝つことよりインパクトが大事だと思うので、勝ち方、倒し方をしっかり見せたいなと思います。
―― 分かりました。ありがとうございました!
森坂陸「バカにされても反骨精神で立ち向かってきた」
―― 森坂選手としては、本当は昨年10月に篠塚辰樹選手に敗れてタイトルを失った後、そのままリングから去るつもりだったんですか?
森坂 そうですね。タイトルを失った時点でもう潮時だなと思ったので。防衛できなかったらもうやめようと考えてはいたんですよね。本来、篠塚選手に負けるような立場じゃなかったと思うので、「もうこれ以上、上には行けないんだな」と感じて、そのままリングを降りようと思っていました。
―― ただ、そうはいかなかったと。
森坂 はい。前の試合が終わってから新しいファンの方が増えたということもありますし、「まだ見たい」という声が予想以上に多くて。それと、やめることについての批判が思った以上に多かったというのもあったんですね。だったら気持ちを入れ替えて、ラスト1試合、勝っても負けてもしっかりと僕の存在をみんなの記憶に残すような試合をしてからリングを降りるのが筋かなという考えに至りました。
―― 引退撤回を望む声も多かったと思いますが、それには至らなかったわけですね。
森坂 僕の中には、ベルトを失って「またイチから頑張ります」というモチベーションはもうなかったので。たぶん、他にやりたいことが何も見つかってなければ、そこからまた頑張ろうという気持ちになって続けていたかもしれないですけど、やりたいことが見つかったのと、これにセカンドキャリアを懸けようと決めていたので、格闘家としては十分満足できる生活ができたかなというのが正直、僕の中ではあって、続けるのではなく、あと1試合やって終わろうという考えになりましたね。
―― そのラストマッチの相手が、松本海翔選手に決まりました。そこについては?
森坂 ベルトを失ってから、誰とやりたいとか、ラストマッチだから誰と、という気持ちは僕の中にはなくて。考えていたのは、一度負けた相手にリベンジして終わるのか、それとも、期待の新人で「森坂とやりたい」と言ってくれてる人が数名いる中で、そういう相手とやって「世代交代」というコンセプトにした方が、その後のK-1につながるのかな、ということだったんですね。そんな中で「新人との試合でどう?」というお話をいただいたので、「あ、それでいいです」ということで受けさせてもらいました。松本選手は僕の中でずっと印象があったというか、ずっと「やりたい」と言ってくれてたんですよね。ただこれだけキャリアの差がある中で、組まれることはないかもなとも思ってはいたんですけど、新人の中で組まれるとしたら松本選手だろうなとも予想はしていました。僕が勝って当たり前と見られていると思いますけど、彼の実力は全然認めてますし、全然ナメてるわけではないです。今後の期待の星をベテランの僕が相手することで、僕が負けるようなことがあれば彼の株は一気に上がるでしょうし、もし僕が勝っても、松本選手にデメリットは全くないと思うんですよ。また頑張るという糧になると思うので。もちろん僕は本気で勝ちに行きますけど、未来のK-1のためというか、「世代交代」というコンセプトの方が盛り上がるかなと思って、対戦を受けました。
―― ただ、「交代」するつもりはないわけですよね。
森坂 はい。僕の座を譲るわけでもなく、僕が普通に勝って、先輩としてこのリングの厳しさを教えてやろうと思っています。
―― 最後ということで、試合に向けたいろんなことが最後になるわけですよね。その中で、どういう気持ちで日々を送っていますか?
森坂 ラスト1試合というのは自分で決めたことですけど、「ああ、ホントに俺は最後の日を迎えるんだな」という気持ちはありますね。ただ勝つだけじゃなくて、自分の実力を全部出し切って、ファンの記憶に残るような試合ができたらなと、ずっと考えています。
―― 松本選手の印象は?
森坂 勢いがあって、若々しいファイトといいますか、強いとは思うんですけど、ディフェンスのテクニックとか全体を見たら僕の方が上回ってるなと思いますね。
―― 最終的にはどう勝ちたいですか?
森坂 狙うはKOです。相手の気持ちを折っての完封勝ちですね。
―― また今回、森坂選手ラストマッチのみのビジュアルイメージも作られていましたね。
森坂 メチャメチャ気合いが入ったのはもちろんですけど、同時に「僕が勝って当たり前と思われてるんだな」と思って、気が引き締まりました(笑)。松本選手にはしっかりと僕の引退相手になってもらって、最後にしっかり僕の姿をファンの記憶に残してからリングを降りたいなと改めて思いました。
―― 先ほど出た「やりたいこと」というのは……
森坂 SNSでは公開してますけど、飲食店といいますか、シーシャ、水タバコの店ですね。ずっと格闘技以外にハマるものはなかったんですけど、1年半ぐらい前からシーシャにハマってまして。お店でアルバイトで働いていて、予定どおりに行けば来月、都内で自分の店をオープンする予定です。ご縁があって、最初は間借りという形になるんですが、そこで経験を積ませていただいて、うまく行けば来年にも正式な自分の店を出したいと思っています。だから今は試合に向けて減量もしてるんですけど、お店の方も忙しいので、毎日バタバタしてます(笑)。
―― さて、改めて現役生活を振り返ると?
森坂 本当に酸いも甘いも……まあ、僕は「甘い」はあんまり味わってないですけど(笑)、勝ったり負けたりでしたよね。高校生でキック・デビューして、念願の“K”のリングに立ったのが19歳の時で、最初はアンチも多かったんですけど、そこから5年後に5連勝してベルトが獲れて。遅咲きといいますか、僕は苦労した方だと思うんですけど、インストラクターの仕事をしながら、空いてる時に1人で練習してという形でやってきたんで、練習したい時にできなかったり、環境的にもいろいろありましたけど、おかげで人間的にも鍛えられましたし、最終的にはベルトという一つの目標も達成したので、すごく濃い9年弱の期間だったなと思いますね。
―― その中で、戦績もさることながら、個性を認められていたと思うんですよね。そこはやっぱり、続けてきたからこそですよね。
森坂 そうだと思います。僕はアンチがいても気にしないタイプですし、アンチもファンの一部だと思ってましたし、バカにされても反骨精神で立ち向かってきたので、それで人間的に鍛えられてきたというのもあると思います。その中でキャラを貫いてきて、今までやってきたことは間違いじゃなかったなと思いますね。
―― それを最後のリングでも貫くのみと。
森坂 「森坂陸ってこういうヤツだったな」と思ってもらえるような試合をして、僕が引退した後も、ファイトスタイルが被る選手ってなかなか出てこないと思うので、時間が経っても「森坂って面白かったな」って思いだしてもらえたらうれしいですね。
―― では最後に、改めてこの試合への“決意”を教えていただけますか?
森坂 まず大前提として「勝つ」ということがあるんですけど、僕の全てを出し切って、ファンの記憶に残す試合をするというのが一番のテーマですね。格闘家としてはこれで終わりですけど、人間として僕を応援してくれたファンの方もいるので、セカンドキャリアの方も応援していただけたらうれしいです。そこで新たな刺激もあるでしょうし。いずれにしても今回は記憶に残す試合をしたいと思ってますね。
―― 分かりました。ありがとうございました!
松本海翔「若手と言えば俺でしょうって食いついた」
―― 今回、森坂選手の引退試合の相手に決まったわけですが、この話が出た時、SNSでの反応がすごく早かったですよね。
松本 そうですね。やっぱり元チャンピオンというのもあったし、戦いたい選手でもあったんで、相手を探してるんやったら食いついたろうかなと思って、食いつきましたね。
―― ただ、確かに森坂選手は「若い選手とやるのもいい」とは言っていましたが、松本選手は次が4戦目。実現するかなと思ってましたか?
松本 いや、正直そこは微妙でしたね。でも、森坂選手と当たるのを想定して練習もやってたんで、選ばれるという自信はありました。SNSでも「若手選手でもいい」って書いてたんで、「いや若手と言えば俺でしょう!」と思って。引退前、最後に俺が若手選手の代表として倒したろうかなと思って。
―― 森坂選手のファイトスタイルはK-1 GROUPの中でも独特ですが、どういう印象ですか?
松本 やりにくそうですね。面倒くさい選手やろなって感じです。でも、倒す自信はあります。元チャンピオンですけど、ここでつまずいたらその先に行けないんで。相手が元チャンピオンやからとかキャリアが上やからとか関係なく、もう全部上回って、俺が圧倒したいなって思ってます。
―― それだけの自信があるということですね。プロデビューからここまで3戦全勝で昨年12月の魁志戦では初KOも記録しました。好調の理由は?
松本 やっぱりチームの支えじゃないですか。仲間とか家族、トレーナーがいるからこそこんな結果を出せてるし、1人じゃ絶対無理なんで。
―― その上で、ここまでの3試合を振り返って、自分の出来としてはどうですか?
松本 いや、まだ完璧ではないですね。まだまだ強くなるんで。簡単に言うたら、まだ“試し”です。どこまで通用するかっていう。それを今回、発揮するだけですね。今までの試合で足りないところも見つかったんで、それを直して今回の試合で出すだけです。「俺のこと、ナメんなよ!」って感じです。
―― なるほど。その「足りないところ」というのは、具体的には?
松本 下半身の軸とかですね。あとタイミングとか。今はそこに重点置いてやってます。
―― 当日は同じフェザー級で、王座決定トーナメントも始まるし、ベテラン同士の一戦もあります。その中で元チャンピオンに勝てば、一気にポジションが上がると思いますが、そこでどうしたいですか。
松本 勝ったらもう、一気にタイトルに行きたいですね。上に誰がいるとかは、別に気にしてないです。とりあえず僕の仕事は、当たる選手を1人1人倒していくだけなんで。王座決定トーナメントも、周りからは僕が出てもおかしくないやろっていう反響もけっこうあったんで、今回勝てばタイトルに近づくと思うし、やりたいですね。
―― 相当自信満々ですね。
松本 そうですね、ここでつまずいたら絶対ダメなんで。アマチュアの時から自信だけはあります(笑)。
―― その自信の根拠というと?
松本 やっぱり格闘家って、そうじゃないですか。自信なくしたら終わりだと思ってるんで。だからもう日々、「俺に勝てるやつはおらん」って思い込んでますね。「コイツには勝てんわ」って思ったら、その時点で気持ちが折れてるんで。なのでいつも「相手が強かろうが関係なく、絶対俺が倒す」っていう脳内なんで。
―― それで突き進むと。そもそも格闘技はいつから始めたんですか?
松本 空手を始めたのが小3ですね。キックボクシングは小5の時に始めました。空手では小4の時に兵庫県大会で優勝して、全日本優勝して。それから極真の世界大会に2回出て、2回とも3位でした。その後も全日本軽量級で優勝して、中2で全日本重量級に挑んで優勝して、それで2階級制覇して空手を卒業しました。
―― 小5からは空手とキックを並行してやっていたわけですね。
松本 キックの方は、中3の時にK-1アマチュア一般Aクラスで優勝して、高1でK-1甲子園の西日本予選で優勝して、本戦では3位でした。
―― 3位で終わった時は相当悔しかったのでは?
松本 やっぱり悔しかったですね。あの時は見すぎたなって感じでした。それもあって、プロでは「行くとこは行く」って心がけるようになりました。。
―― プロでの目標はどこに置いていますか?
松本 まずK-1王者ですね。そこから世界に出て、世界で活躍できる選手になりたいです。
―― ではこの森坂戦を「出世試合」にしたいところですね。
松本 そうですね。今回、もちろん相手も強いですよ。しっかりと強さも全部認めてるんで。でも勝てるっすね。
―― では、勝つために最終的に必要なものとは?
松本 気持ちですね。そこは折れない自信があるんで、意識はもうずっと勝つだけです。勝つために今もずっと練習してるんで、あとはもう試合当日、見ててくださいって感じです。
―― その舞台が、フェザー級の選手が多く出る今大会で組まれたというのも、何か「持ってる」感じがしますね。
松本 そうですね。僕は昔からけっこう「持ってる」かもしれないです。今度もそれを証明するだけなんで、楽しみにしててください。
―― ちなみに今は高校生ですか?
松本 はい、高3です。卒業したら大学には行かないで、格闘技一本でやっていくって決めてます
―― その進路のためにも、この試合は重要ですね。では最後に、改めてこの試合に向けての“決意”を教えてください。
松本 僕が目指してるのはもっと上なんで、こんなとこでつまずいてられないんで。今回の相手を絶対倒して、この先ずっと上に行くだけやから、今回の試合のテーマは圧倒的勝利です。
―― 分かりました。ありがとうございました!
対戦カード
第9試合 メインイベント 初代Krushミドル級(75kg)王座決定トーナメント・決勝戦 3分3R(延長1R)
神保克哉(K-1ジム目黒TEAM TIGER)
ブハリ亜輝留[アキル](ウィラサクレック幕張)
第8試合 セミファイナル フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
玖村修平(K-1ジム五反田チームキングス/元Krushフェザー級王者、元NJKFバンタム級王者)
桝本翔也(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
第7試合 63.5kg契約 3分3R(延長1R)
龍華(ザウルスプロモーション/K-1甲子園2019・2020 -65kg優勝)
歩夢[あゆむ](KPKB/チームドリーム/KPKBライト級王者)※ゴリラジムから所属変更
~休憩~
第6試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
森坂 陸(エスジム/元Krushフェザー級王者)
松本海翔[はると](TAD)
第5試合 第9代Krushフェザー級(57.5kg)王座決定トーナメント・準決勝(2) 3分3R(延長1R)
稲垣 澪(K-1ジム大宮チームレオン/元Bigbangフェザー級王者)
橋本雷汰(ALONZA ABLAZE/K-1甲子園2022 -60kg優勝)※BFA-SEEDから所属変更
第4試合 第9代Krushフェザー級(57.5kg)王座決定トーナメント・準決勝(1) 3分3R(延長1R)
石田龍大[りょうた](POWER OF DREAM/K-1甲子園2019 -60kg優勝)
“狂拳”迅(WIZARDキックボクシングジム)
第3試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
鈴木翔也(OGUNI-GYM/元NJKFライト級&スーパーフェザー級王者)
斎藤祐斗(JK TRIBE)
第2試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
寺島 想[こころ](AX GYM/K-1カレッジ2020 -60kg優勝)
関口功誠(ALONZA ABLAZE)
第1試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
林 佑哉(K-1ジム大宮チームレオン/ジャパンカップキックボクシング&RKSバンタム級王者)
白幡太陽(FLYSKY GYM/Tmile Gym)※FLYSKY GYMから所属変更
プレリミナリーファイト第3試合 バンタム級(53kg) 3分3R
早田吏喜[りき](TEAM3K)
瀧山悠斗(ウィラサクレック西川口)
プレリミナリーファイト第2試合 バンタム級(53kg) 3分3R
小島卓也(優弥道場)
雨宮 空(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
プレリミナリーファイト第1試合 フライ級(51kg) 3分3R
元太郎(IDEAL GYM)
海凪[みなぎ](team NOVA)
概要
大会名 Krush.162
日時 2024年6月23日(日) 開場・17:00 プレリミナリーファイト開始・17:15 本戦開始・18:00
会場 後楽園ホール
中継 ABEMA(生放送)、U-NEXT(生放送|2,189円/月)
チケット料金 SRS席 20,000円 RS席 15,000円 S席 10,000円(完売) A席 7,000円(完売) ※当日券500円アップ ※小学生からチケットが必要
チケット販売 K-1.CLUB グッドルーザー 出場選手・所属ジム
お問い合わせ グッドルーザー 03-6450-5470 https://www.k-1.co.jp/krush/