修斗 5.19(昼) ニューピアホール(レポ):デビュー20年・藤野恵実、杉本恵を3Rパウンドアウトし2団体制覇達成「まだ続けます」。ストロー級・田上こゆる&フライ級・関口祐冬、豪快KO勝ちし新井丈の王座挑戦熱望
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プロフェッショナル修斗公式戦【第1部】PROFESSIONAL SHOOTO 2024 Vol.4
2024年5月19日(日)東京・ニューピアホール
レポート&写真:井原芳徳
デビュー20年の藤野恵実、杉本恵を3Rパウンドアウトし2団体制覇達成「まだ続けます」
第8試合 メインイベント 初代修斗世界女子ストロー級チャンピオン決定戦 5分5R
○藤野恵実(JAPAN TOP TEAM/元パンクラス同級王者)
×杉本 恵(AACC)
3R 3’43” KO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
※藤野が王者に
新設の修斗女子ストロー級では昨年3月から今年1月にかけて5選手による総当たりリーグ戦「インフィニティリーグ」が行われた。リーグ戦1位と2位の選手による同級初代王座決定戦がリーグ戦開始前から決まっており、予定通り今大会で王座決定戦が組まれた。インフィニティリーグは早いラウンドでの勝利ほど高い勝ち点を得られるのが特徴。43歳・プロ20年・元パンクラス同級王者の藤野は、このリーグ戦で修斗に初参戦し、1R一本勝ち、2R KO勝ち2度のフィニッシュを決め、3勝1分で勝ち点10を獲得し優勝した。杉本も3勝1分だが勝利は全て判定勝ちのため勝ち点7に留まり2位だった。
その藤野と杉本の昨年11月の一戦が、両者唯一の引き分けだった。前回は1R、藤野がパンチラッシュで杉本を倒し、最後は裸絞めを狙って優位に進める。2Rは杉本がテイクダウンを奪い、藤野がパンチのヒットで上回り、ジャッジは1者が藤野、2者が杉本を支持し、判定1-0のドローで終わっていた。修斗の世界チャンピオンシップは5R制。藤野はパンクラスで5R制を3度経験し1勝2敗で、いずれも3~4Rで決着しており、杉本は初の5R戦となる。
1R、スタンドの打撃戦で、離れた状態では長身の杉本の左ジャブが当たるが、距離が詰まれば藤野も右フックを当てる。組んでも五分の状態でお互い倒れず、差のないまま終盤に進む。すると藤野のワンツーでの左フック、ノーモーションでの右ストレートが当たり、やや優位に。最後は杉本のタックルを藤野が切りつつ、ギロチンで引き込んで終える。記者採点は藤野。
2R、パンチの攻防、押し込む攻防が繰り返され、差は小さいが、藤野のヒットがやや目立つ。残り30秒を切り、杉本が右のバックハンドブローを2連発したが、2発目で背中を向けてしまったタイミングで、藤野がタックルを仕掛けて倒し、最後は上で押さえてパウンドを当て、優位で終える。記者採点は藤野。
3R、杉本が形勢逆転を狙ってタックルを仕掛けるが、力が入りきらず、藤野が金網際で切る。藤野は杉本を潰して上になり、サイド、マウント、ハーフと動きつつ、鉄槌を当て続ける。すると藤野がマウントとバックマウントの中間の状態で、パウンドをまとめたところで、片岡レフェリーがストップした。
パンクラスに続き修斗も制した藤野は、「今年で20周年、ベルト取れました」と笑顔で喜びつつ、ファンや関係者に感謝の言葉を述べると、次第に涙声になり、最後は「まだ続けます。まだもっと強くなりたんで見ていてください」と話し、観客をどよめかせた。
田上こゆる、旭那拳を1R KOし新井丈のストロー級王座挑戦熱望
第7試合 セミファイナル ストロー級 5分3R
×旭那 拳(THE BLACKBELT JAPAN/世界1位)
○田上こゆる(BLOWS/世界5位)
1R 1’52” KO (右ストレート→グラウンドパンチ)
旭那はTHE BLACKBELT JAPANの沖縄のジムに所属し、昨年は4月の沖縄大会のメインでタイガー石井に判定負けしたが、11月の沖縄大会のメインでは泰斗に判定勝ちした。その試合後のマイクアピールで、旭那が後楽園大会への出場と田上戦を希望し、田上も承諾していた。元々この一戦は3月23日の後楽園大会のセミファイナルとして予定されていたが、旭那が左中指骨性マレット指により手術し欠場し、2カ月後の今大会にスライドされた。
田上は22年12月に泰斗に判定勝ちし、昨年6月には石井に2R TKO勝ちし2連勝中だ。ストロー級世界王者の新井丈は昨年7月23日に安芸柊斗に1R TKO勝ちし初防衛を果たし、防衛期限の1年が迫っており、旭那と田上の一戦の勝者が王座挑戦者になる可能性が高い。
1R、旭那が時折サウスポーにスイッチしつつプレッシャーをかけ、田上がガードを低めにしつつ距離を取り、お互いフェイントをかけ、慎重に見合うような状態が続く。すると中盤、旭那がサウスポーにスイッチしてから、左のパンチを振って飛び込んできたところで、金網を背にした田上が右ストレートをクリーンヒット。ガードのガラ空きだった旭那は、うつぶせでダウンし、田上が追い打ちのパウンドを連打したところで、田澤レフェリーがストップした。
マイクを持った田上は「大阪から新井チャンピオンに喧嘩売りに来た田上こゆるです」と第一声を放ち「世界目指してるんで、打ち合ってくれる楽しい選手とやりたい。僕と打ち合える漢気のある選手、楽しい試合お願いします」と話すと、「チャンピオン、見てますかね 次にでも戦いましょう」と客席の新井に呼び掛けた。新井は笑顔で親指を立て、対戦に前向きな姿勢を示した。
関口祐冬、石井逸人を2R KOし新井丈のフライ級王座挑戦熱望
第6試合 フライ級 5分3R
○関口祐冬(修斗ジム東京/世界1位)
×石井逸人(TRIBE TOKYO MMA/世界7位、元バンタム級環太平洋王者)
2R 3’12” KO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
関口は昨年3月、ストロー級から階級を上げた新井丈に判定負けし、7月には内藤頌貴に判定勝ち。今年1月にはヤックル真吾に判定勝ち。新井に敗れる前は5連勝で、長らくフライ級上位戦線で活躍している。
石井は22年10月、環太平洋バンタム級王座の初防衛戦で藤井伸樹に判定負けし、昨年4月のパンクラスでもランカーの井村塁に判定負け。9月大会で6年ぶりにフライ級に戻って戦う予定だったが、対戦相手の堀内佑馬が計量で300gオーバーし、契約体重での合意に至らず試合中止となった。
石井は12月大会でのフライ級復帰初戦で内藤頌貴に2Rに三角絞めで一本勝ちすると、「フライ級で一人やりたい奴がいます。ストロー級とフライ級のチャンピオンになった新井丈、見てるだろ?NEVER GIVE UPとうっせえから、俺がギブアップさせます」とマイクアピールしていたが、今年初戦で足元をすくわれることに。
1R、関口が左ハイを放つが、石井が蹴り足をつかみながら倒し、すぐさまバックマウントを奪う。石井は最後までバックコントロールし、裸絞め、腕十字を狙いつつ、鉄槌も当て、主導権を維持する。記者採点は石井。
すると2R、ピンチを逃れた関口がチャンスをつかむことに。スタンドの展開が続き、関口がサウスポー主体でスイッチを織り交ぜつつ、右フックや右カーフを当て、やや優位に進める。すると中盤、石井がタックルを仕掛け、寝技勝負に切り替えようとしたが、関口は下がりながらタックルを切る。関口は金網を背にし、がぶった状態で右の肘を石井の頭に連打すると、これが効き目を発揮する。石井は脱力してうつぶせになり、関口がさらにパウンドを連打したところでレフェリーがストップした。
試合後のマイクで、関口は新井のフライ級王座挑戦を希望した。だが客席の新井は、一度勝った相手との再戦となるせいか、ストロー級の田上のKO勝利後とは対照的に、頭に手を当て、渋い表情を浮かべていた。
第5試合 フェザー級 5分3R
○齋藤 翼(津田沼道場/FIGHT FARM)
×青井太一(心技舘)
判定3-0 (田澤29-28/福田29-28/片岡29-28)
齋藤は椿飛鳥、TOMAと上位勢相手に2連敗中。青井は2連勝2KO中。1R、齋藤がパンチラッシュで先手を取るが、青井が右フック等のパンチを当てると、齋藤は一瞬膝をつく。その後も一進一退の打撃戦で、青井が若干優位だったが、終盤には齋藤がテイクダウンを奪って上になり巻き返す。記者採点は青井。僅差のため齋藤についても不思議ではない。
2R、齋藤は右フック、左ボディ、右カーフを積極的に当て、青井も右フック等のパンチや膝を返し、大差はつけさせない。齋藤が押し込み、倒せないが、イニシアチブを握る時間は長い。記者採点は齋藤。
3Rも齋藤が同様に打撃で優位を維持し、終盤に右カーフを当てると、青井をスリップさせる場面も作る。記者採点は齋藤。合計29-28で齋藤。ジャッジ3者も同じ採点で、齋藤が判定勝ちした。
第4試合 epsomsalt seacrystals presents インフィニティリーグ2024 フライ級 5分2R
×ヤックル真吾(T-REX柔術アカデミー/世界4位/勝ち点3)
○須藤晃大(EXFIGHT/勝ち点3→7)
1R 0’19” KO (左フック)
1R開始すぐ、ヤックルが前に詰めて来て、パンチを振って来るが、須藤は金網を背にしつつ、カウンターで左フックをクリーンヒットすると、ヤックルは伸びた状態で倒れ、須藤のKO勝ちとなった。ヤックルは担架で運ばれた。
須藤は1R勝利のため勝ち点4を獲得した。マイクを持った須藤は「このリーグ、自分が下みたいに思われているみたいですけど、全部圧勝して勝ちます」とアピールした。
第3試合 2024年度新人王決定トーナメント一回戦 フライ級 5分2R
―前田壮吉(リバーサルジム横浜グランドスラム)
―シモン・スズキ(和術慧舟會HEARTS)
中止
※前田が化膿性滑液包炎により欠場。スズキがトーナメント準決勝進出
第2試合 73kg契約 5分2R
△安海健人(ALMA FIGHT GYM BASE)
△山下康一朗(CARPE DIEM福岡)
判定0-0 (19-19/19-19/19-19)
両者はアマチュア時代に対戦し山下が勝利している。1R、山下がテイクダウンを奪い、コントロールを続けつつパウンドを当て優勢。2Rは山下のタックルを切った安海が、終了間際に倒してパウンドを当て、立てばバックハンドブローも当てて挽回し、ポイントを取り返したことでドローとなった。
第1試合 フライ級 5分2R
×シューティングガイコツ(THE BLACKBELT JAPAN)
○岡田嵐士(リバーサルジム新宿Me,We)
2R 2’32” 裸絞め
岡田は今年3月に開催された無観客生配信イベント「修斗Live!」でのトライアウトで勝利しプロ昇格した22歳で今回がデビュー戦。ガイコツはプロ10戦2勝7敗1分の45歳。
1R、岡田が右ストレートを効かせ、グラウンドでコントロールし続け、パウンドを何発も当てて圧倒する。
2R、岡田がまたも上になり、ガイコツの下からの足関を防御すると、最後はバックに回って裸絞めを極めてタップを奪った。