キックボクシングとムエタイ。それが、この試合のテーマの一つである。 日本人同士の対戦ながら「国際戦」と位置づけられるこの一戦に、多くのファンは、ある種、他流試合の匂いを感じていたのではないだろうか。 いうまでもなく、小野寺選手は、名実ともに日本のキックボクシング界を牽引するトップ選手である。そこに、キックボクシングとは別の道を歩むアタル選手が「ムエタイなら日本人に負けない」という強烈な自負を持って現れた。この、ムエタイで40戦以上をこなすアタル選手の矜持が、見る者に極度の違和感とゾクゾクするような期待を抱かせる。 方法論の違う両者が相見えるこの試合、久しぶりに選手がリングに上がる前から緊張感を漂わせる。 もう一つ、テーマは、「小野寺選手は、復調しているか?」という点だろうか。 昨年の連敗と出場停止処分により、順調だった小野寺選手の歩みもペースが崩された感がある。今年も、3月に南豪王者に完勝するも自己採点は30点。5月にはマサル選手とドローに終わり、今一つ以前の輝きを取り戻していないようにも思われる。 果たして、今日、小野寺選手は真の復活を遂げることができるか?。そんなことを思えば、今日の試合は、見応えのある試合が期待できるはずだ。
もう一つ、テーマは、「小野寺選手は、復調しているか?」という点だろうか。 昨年の連敗と出場停止処分により、順調だった小野寺選手の歩みもペースが崩された感がある。今年も、3月に南豪王者に完勝するも自己採点は30点。5月にはマサル選手とドローに終わり、今一つ以前の輝きを取り戻していないようにも思われる。 果たして、今日、小野寺選手は真の復活を遂げることができるか?。そんなことを思えば、今日の試合は、見応えのある試合が期待できるはずだ。
小野寺選手の完勝だった。 予想通り、というか、当然に、アタル選手はムエタイスタイルで闘いに挑んだ。ミドルと首相撲を中心に試合を組み立て、首相撲ではしばしば小野寺選手を押さえ込む場面も見られた。 しかし、小野寺選手もミドルには、ワンツーやローで相殺し、首相撲には、そこに持ち込まれる前にうまく突き放し、決してペースを握らせなかった。 今日の小野寺選手はほとんどパーフェクトと言っていい出来だったと思う。アタル選手を遥かに凌駕するスピード、とりわけ、パンチのコンビネーションをあれだけ速く叩き込まれることは、アタル選手にも余り経験がなかったのかも知れない。対応が一歩遅れ、首相撲に持ち込もうと腕を伸ばして近づこうとするも、ガードの下からアッパー、ボディフック、さらに強烈無比なローキックと叩き込まれては、思い切って組みに行けずに度々躊躇していた。 そして、フィニッシュは、余りに衝撃的な失神KO。キックルールだろうが、ムエタイルールだろうが、文句のいいようのない完全勝利。対ムエタイという当初のテーマは、最後の右ストレート一発で吹っ飛び、もう一つのテーマ、小野寺選手の完全復活を感じさせるものとなった。 小野寺選手自身も、控え室で高らかに復活を宣言し、今後の更なる飛躍を示唆した。 インタビューでは、前回苦汁を飲まされたマサル選手とのタイトルマッチから、他団体の選手との対戦にも言及している。意欲がうかがえるのは嬉しいことだ。 復活を果たした小野寺選手の次なる目標は何か。 是非、会場で、ご自分の目で確かめて欲しい。 文 片岡
復活を果たした小野寺選手の次なる目標は何か。 是非、会場で、ご自分の目で確かめて欲しい。 文 片岡