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[第12試合 日タイ国際戦58kg契約 5回戦]
鈴木秀明 vs ターチャナッ・ジョッキージム
こ5試合で、実に4人ものムエタイ選手と対戦している鈴木選手。
 これだけのカードが組まれるのは、もちろん鈴木選手への期待の現れだろう。そして、鈴木選手は、その期待に応えている。チャポン選手との対戦は惜しくも判定で敗れたが、その内容は、鈴木選手の存在をアピールするのに十分なものだった。そして、日本人キラーと呼ばれるパーサタン選手との対戦では、ついに対日本人勝利記録をストップさせた。
 1戦1戦強くなっていることを感じさせるこの若き王者は、今日も大変なムエタイの強豪を迎えている。そのターチャナッ・ジョッキージム選手は、ラジャ系の現役ランカー。今日の試合が楽ではないことは、容易に想像がつく。
 しかし、鈴木選手なら…そんな期待をしないではいられない。きっと、今日も我々の期待に応える、静かに、しかし燃えたぎるような熱い戦いを見せてくれることだろう。



ラウンド1 ングと同時に鈴木選手が進み出て、細かくジャブでリード。ターチャナッ選手は前蹴りで突き放す。両者、パンチは省略して組みつくと、組み手を争う。ターチャナッ選手がうまく鈴木選手の体をコントロールしてヒザを回す。鈴木選手もヒザで応じるが、ややターチャナッ選手が優勢。鈴木選手も隙をついて組み手を差し込み、腕をほどいてヒジを振る。ブレイク後、ローとハイを蹴り合い、ターチャナッ選手は再び前蹴りから距離を詰めて首相撲に持ち込みヒザを回す。終盤、ミドルとローを交換してゴング。


首相撲の攻防
 
ラウンド2 者前に出ると、ターチャナッ選手はミドル。それにローを合わせる鈴木選手。そして、組み合うと、両者組み手争いでもつれる中で、鈴木選手が巧みにヒジを狙う。そして、ターチャナッ選手のガードが開いた隙をついて左ヒジ一閃。そして鈴木選手がカットをアピール。ドクターチェックの末、ストップがかかりTKO!


差し手争い 

カットされたターチャナッ、
まだ出来るとアピールしたが 

リングサイドで万歳
する小森会長 

鈴木大金星

鈴木選手、衝撃のTKO勝ち!。
人的に、鈴木選手には大変期待していたが、ここまで鮮やかな勝利を予想することはできなかった。初回から積極的に仕掛けて、自分のスタイルで堂々と渡り合い、タイ人のお株を奪うようなヒジのカット。ここまで見事な勝ちっぷりには本当に脱帽した。

 今回の試合に限っていえば、ターチャナッ選手は首相撲では確かに鈴木選手に対して一日の長があったように思われた。たとえば、腕の入れ方やヒザ蹴りにおいては、やや優勢に立っていたと思う。しかし、だからといって鈴木選手は、決して押されっぱなしということはなく、堂々と自らの技量で渡り合っていたし、その他の場面では、ターチャナッ選手の光を消すような闘い方で良いところを出させなかった。
 鈴木選手の何が強いのか、ということは、なかなか一言で言い現せない。たとえば、パンチが強いとかヒジが巧いとか、分かり易い各々のパーツの強さではなく、総体としての強さをひしひしと感じる。それは、常に自分の間合い、自分のペースで闘える強さであり、相手の攻撃を包み込むような強さ、ということだろうか。これが、どんなに難しいことかは、他の選手のタイ人との闘いを見れば分かるだろう。
 本当に、鈴木選手は凄い。そして、鈴木選手の強さを支えるもの、それは名古屋JKFでの練習、すなわち、佐藤選手をはじめとする練習仲間との切磋琢磨、小森会長の真摯な指導の賜なのだろう。そこに、どん欲な鈴木選手の強さへの希求が加わるのだから、強くならないわけはない。
 今後も、鈴木選手には国内外の強豪との対戦が組まれるだろう。しかし、相手が誰だろうと期待せずにはいられない。そして、きっとその期待を大きく超えて、鈴木選手はその力を誇示するだろう。なにしろ、まだ22才。若き王者は、まだまだ発展途上なのだ。

文 片岡


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