がんばれ!タカハシ君タイトル 第1回「打たれてなお楽しは素晴らしきこと哉」の巻

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<其の2〜タカハシ世界最強説!?>

 熊谷にリングでボコボコにされ続けながらも、最後まで立っていた高橋。

 私はその姿を見ながら、格闘技を初めて見た時の不思議な感動を思い出していた。不覚にも涙さえ出ていた。
 倒す者がいて、倒される者がいる。そういう当たり前の格闘技の光景の中に、人はいろんなドラマを見つけ、そしてその人なりの感動をするのだろうと思う。私は、高橋の心の底からわき出たような雄叫びに、深く感動し ていた。判定での負けは分かっていても、絶対に倒れまいとした高橋の姿に心をうたれていた。

 試合が終わった後、私は感動にうちふるえながら高橋のインタビューに駆けつけた。

---試合中にダウンした後で叫んだ時、どんな気持ちだった? (私は感動したよ!)

高橋「いやあ、すごく痛かったんですよお〜。もお痛くて痛くて叫ばないと耐えられなかったんですよお〜」

 

 
こんなにカオを腫らしながらも
ニッコリ笑う高橋

・・・・なんだそりゃあ!!

 ああ、もしかして、不意打ちの膝カックンでダウンを取られてしまった選手は、こんな気持ちになるのかもしれない。

 私の涙はまるで膝が崩れるようにヒレハラホロヒレ〜とインタビュースペースの床に落ちて、そしてあとかたもなく消えてしまった。


 人がせっかく、カッコいい「高橋・根性物語」を作り上げようとしているのに、これだ。
 いや、今回だけではない。いつもいつもいつも高橋はこちらが持っている「格闘家」のイメージを見事なまでにスカしてくれるのだ。ローはまだ弱いが膝カックンでは世界最強、それが高橋。
 そういえばL−1のときもそうだった。不本意な結末となり、悔しさのあまり泣きじゃくる三井綾(不動館)に比べて「やー、コーチに言われた通りにやったんです〜」という力の抜けた勝利者コメントを吐いた高橋のコントラストはあまりにも見事であった。

 ついそのインタビュー記事で「天然さん」と名づけてしまったあの日から、すべては始まった。私は高橋という一選手が気になりはじめ、高橋は不動館と交流を始めた。

 あんなキッツイ試合をやっておきながら、高橋は「熊谷さんとやれて嬉しかったんですよお〜」と事もなげに笑う。
 試合後、顔をぱんぱんに腫らしながら「明日のJd'のレフェリング、この顔じゃツラいかなあ〜?」とノンキに熊谷と談笑する高橋。
  それに対して「水いっぱい飲んで下痢すりゃ腫れぐらい引くさ!」と答えていた熊谷も熊谷だが、それはそれ、スポーツウーマンの清々しさということだ。

 リング上の真剣さと、リングを降りた時ののほほ〜んとしたキャラクターの落差はなんともいえない魅力と、とてつもない器の大きさを感じる。
 この愛すべきキャラクターの人物・高橋洋子に、私は敬愛をこめてこう言おう。

がんばれ!高橋くん!(シャウト)

つづく。

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