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NJKFタイ遠征その3

「試合前」
 今朝の計量から実に十六時間がたちました。新田・鈴木両選手が勝利を収めていることで、佐藤選手に三人目としての重圧が掛かっていることは間違い有りません。無精ひげがふてぶてしさを匂わせていて、重圧に潰されてしまっている感じはありませんが、心中察するにあまるものがあります。
 直前の第七試合のタイトルマッチはテレビ中継されていて、とても良い試合でした。観客の興奮がまだまだ残っている中で、これから佐藤選手がリングに上がります。


[9/12 夜の部第八試合 佐藤孝也 対 STANSINGH SAW.RACHADAPORN]


ラウンド1 ングとともにパンチ・左ローと攻め込んでいく佐藤選手。相手もサウスポーのようですが、奥足(右足に)にローがよく決まります。しかし伸びのある前蹴りで度々ストップさせられ、また軸足へのカウンターのローキックを貰っています。RACHADAPORN選手は組み際にジャンプして垂直に肘を落としたくらいで、首相撲の実力はまだ分かりません。
 RACHADAPORN選手がレフェリーにアピールしていますが、どうも飛び込んでくる佐藤選手に対し下からすりあげる肘を放ったところ、額をカットしたしたようです。レフェリーは続行を促しています。ここからは佐藤選手の額に赤い筋が有るように見えます。ここでゴング。


1Rに額をカットされた佐藤
小森会長がワセリンを塗る

ラウンド2 ンターバルの間に止血用のワセリン?をかなり山盛りにした佐藤選手です。やはり相当な傷なのでしょうか?。佐藤選手はパンチのコンビネーションにアッパーを混ぜて、決めは左右のロー。RACHADAPORN選手は距離を前蹴りで取りながら、単発のミドル、パンチの攻防です。パンチが主体になってきた所でRACHADAPORN選手が組んできました。もの凄い膝が2発ほど飛んできます。左肘も打ち込まれました。佐藤選手は様子を見ている風で、特に動きは有りません。
 ところが急に佐藤選手の動きが止まって、下を向いています。マウスピースを吐き出して崩れ落ちてしまいました。首相撲のとかれ際に左肘が佐藤選手の右顎を捉えたようです。レフェリーはすぐに試合を止めました。完全なKO負けです。我々からはハッキリ見えなかったせいもあって、誰一人言葉を発しません。




「試合後」
 さっさと会場は照明を落とされ、もう日本人関係者と掃除のおじさんしかスタジアムには残っていません。今佐藤選手は医務室で傷口の縫合を受けています。そのシーンを報道陣に公開しているのでちょっとビックリしました。出てきた佐藤選手を見ると額の真ん中、生え際を剃り、十三針縫ったとのこと。しかし痛々しい感じもせず、悲壮感も僕は感じませんでした。同情や哀れみを全く感じさせないタフな佐藤選手がそこにいます。
 正直なところ今回の佐藤選手の相手は、鈴木選手や新田選手が戦った相手とはレベルが違ったと思います。テンカオや前蹴りの鋭さは絶妙でしたしかし佐藤選手もローを効かせていたし、攻略の糸口は確実にありました。
 計量の際のごたごたや、事前の地元紙には「鈴木は勝つが佐藤は負けるだろう」との予想が載ったことから、タイ側は絶対佐藤選手には勝たせたくなかった事が伺えます。それもこれも佐藤選手が出た大会は、タイトルマッチが組まれ、テレビ中継がされるメジャーなものだったからでしょうか?。
 ともかく残念では有ったけれど、がっかりはしなかった(というと矛盾するようですが)というのが偽らざる所です。

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文 ジャズ大名

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